1987 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内増殖菌呼吸器感染症に対する新しい治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
61480198
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
斎藤 厚 琉球大学, 医学部, 教授 (90039842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重野 芳輝 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (50162590)
山口 恵三 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (30136676)
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Keywords | ターゲティング療法 / 細胞内増殖菌 / レジオネラ / リステリア / 呼吸器感染症 |
Research Abstract |
本年度の成果から述べると, (1)抗生剤(CAZ)封入リポソームによる実験的レジオネラ肺炎(モルモット)の治療はかなりの有効性をあげることができた. モルモットに代るマウスではレジオネラに感受性がないことから, やはり細胞内増殖菌にあるリステリアを用いて, ABPCおよびミノサイクリンによる治療を行ない, これらの単独治療よりもすぐれた治療効果をあげることができた. 以下, 本年度の実施計画に対する実際の成果について報告する. (1)抗生剤封入リポソームによる治療では, 腹腔内投与では僅かの延命効果がみられたが, Ceffazidime(CAZ)単独治療群との間に有意差は得られなかった. 心腔内投与では, かなりの延命効果が得られたが, これも有意差は得られなかった. この原因としては, 心腔内投与による心タンポナーデ死亡例がみられたためであり, リポソーム治療そのものに有用性がないという成績とは考えられず, 実験肺炎を腹腔内感染として, 再度検討したところ, CAZ単独治療での生存率20%に対してCAZ封入リポソームでは100%の生存率が得られ, 有意性が認められた. 一方, リステリア感染症におけるリポソーム療法はアンピシリン(ABPC)単独治療で70%の生存率, ABPC封入リポソーム治療群100%の生存率と, リポソーム群がすぐれ, ミノマイシン(MINO)による検討でも, 前者の生存率20%に対して, リポソーム群の生存率80%と有意差をもって, リポソーム治療群がすぐれた成績を示した. 真菌感染症(特にカンジダ敗血症)によるリポソーム封入アンホテリシンBの治療では, 本剤の副作用が軽減され, アンホテリシンBの使用量が単独の5〜10倍量が用いられるという基礎データが得られたが, 治療効果に関しては, 有用性を裏付ける結果は今の所, 得られていない. 今后の検討が必要である.
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[Publications] Saito,A;Koga,H.;Shigeru,H.;Watanabe,K.;Mori,K.;Kohno,S.;Shigeru,Y.;Yamaguchi,K.;Hara,K.: The Journal of Antimicrobial Chemotheraoy. 18. 251-260 (1986)
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[Publications] Hara,K.;Suyama,N.;Yamaguchi,K.;Kohno,S.;Saito,A.: The Journal of Antimicrobial Chemotherapy. 20. 75-80 (1987)
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[Publications] 斎藤厚;朝長昭光;内田淳一;平谷一人;福島喜代康;森賢治;重野芳輝;河野茂;山口恵三;原耕平: 日本感染症学雑誌. 61. 1429-1442 (1987)
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[Publications] 斎藤厚: 九州実験動物研究会会報. 3. 29-33 (1987)
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[Publications] 斎藤厚: 臨床と微生物. 15. 43-47 (1988)
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[Publications] 斎藤厚: 第36回日本化学治療法学会総会(神戸)1988特別講演.
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[Publications] 斎藤厚: "微生物検査必携:細菌・真菌検査法(第3版)レジオネラ" 日本公衆衛生協会, 17 (1987)
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[Publications] 斎藤厚;猿渡勝彦;朝長昭光;河野茂;重野芳輝;山口恵三;原耕平: "臨床検査mook,薬剤感受性試験,レジオネラ" 金原出版, 330(17) (1987)