1986 Fiscal Year Annual Research Report
実験的ウイルス性心筋炎における心臓刺激伝導系の微細構造ならびに機能に関する研究
Project/Area Number |
61480212
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
河村 慧四郎 阪医大, 医学部, 教授 (00026832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 章示 大阪医科大学, 内科, 助手 (00148397)
出口 寛文 大阪医科大学, 内科, 助手 (90131341)
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Keywords | 心臓刺激伝導系 / 実験的ウイルス性心筋炎 / 電子顕微鏡 / 心電図 |
Research Abstract |
心筋炎の心臓刺激伝導系の病理学は、ヒトと動物モデルを問わず、従来、光顕的検索にとどまり、特殊心筋の微細構造病変と機能障害との関連については知られていない。申請者は、以前から、実験的コクサヮキ-B3ウイルス性心筋炎マウスの作業心筋につき、光顕的、電顕的検索を行ってきた。今回の研究ではさらに房室部刺激伝導系特殊心筋の急性期の病変について同様に精査し、同時に心電図により房室伝導障害の有無を検討した。結果は、1.ウイルス接種群ICRマウス35匹中3匹(8.6%)に房室伝導障害(完全房室ブロック1匹、1度房室ブロック2匹)がみられた。2.光顕的観察では第5日以後、ほぼ全てのマウスに心筋炎がみられたが、房室部特殊心筋の病変の程度は作業心筋に比較し軽度であった。3.電顕的観察では、(1)傷害された特殊心筋細胞の形質膜が断裂し、筋原線維が著しく融解、多くのミトコンドリアが膨化し、内部に電子密度が中等度の無定形封入体を認め、また、心筋細胞内にカルシウムと思われる高電子密度の針状構造物を認める所見、(2)傷害された特殊心筋細胞の基底膜下に間質細胞が侵入し、崩壊した細胞内構造物を貧食する所見、(3)間質腔にリンパ球やマクロファージなどの著しい浸潤を認める所見がみられ、さらに(4)染色質が濃縮した核を有する特殊心筋細胞、(5)房室部のリンパ管の拡張などがみられた。これらの房室部特殊心筋の微細構造病変については今まで報告されておらず、新たな知見と考えられる。なかでも心筋炎の房室部刺激伝導系においてリンパ管の拡張を認めたことは、極めて興味ある所見でありその意義につき今後さらに検討を要する。以上の結果の一部は、第11回国際電顕学会および第6回国際心臓研究学会日本部会に於て報告し、第51回日本循環器学会学術集会に於て報告する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fumio Terasaki: Proceedings of XI th International Congress on Electron Microscopy,Kyoto. 3531-3532 (1986)
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[Publications] Fumio Terasaki: Journal of Mollecular and Cellular Cardiology. 19(Suppl.1). 54 (1987)
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[Publications] Fumio Terasaki: Japanese Circulation Journal(Proceedings of the 51 th Annual Scientific Meeting of the Japanese Circulation Society). (1987)