1987 Fiscal Year Annual Research Report
BB/Wラットにおける甲状腺上皮細胞上のIa抗原の存在とその病因的意義
Project/Area Number |
61480253
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
石井 淳 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40049763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂詰 良樹 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40167424)
谷川 俊則 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90167502)
片山 茂裕 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90167338)
河津 捷二 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (30134547)
原 義人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00112649)
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Keywords | BB / Wラット / 実験的自己免疫性甲状腺炎 / NK細胞活性 / 抗サイログロブリン抗体 / 酵素免疫測定法 / マイトーゲン |
Research Abstract |
昭和62年度の研究計画はBB/Wラットリンパ球の細胞傷害機能を測定することであった. 末梢血ならびに脾臓のNK細胞活性は低下しており, この低下は抑制性単球の存在によることが示唆された. 能状腺由来リンパ球に関しても検討を試みたが, 測定に必要十分なリンパ球の採取が困難で, 当初の計画の一部を変更せざるを得なくなった. そこで, 従来の我々の研究で甲状腺にリンパ球浸潤が見られないBB/Wラット個体でも血中に抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)が存在することがたびたび経験されていたので, リンパ節ならびに脾臓のリンパ球を使用してin vitroのTg抗体産生の実験を行うことにした. 対象は12匹のBB/Wラットで, 採血後甲状腺, 脾臓, リンパ節を摘出し, 甲状腺はHE染色し, 脾臓ならびにリンパ節からはリンパ球を採取しマイトーゲンとともに7日間培養し上清を採取した. 使用したマイトーゲンはPWM,PHA,ConAである. 血漿や培養上清のTg抗体は我々の開発した酵素免疫測定法で測定した. その結果, 血中Tg抗体は全例で陽性で, 甲状腺へのリンパ球浸潤は9例で陽性であった. 脾細胞あるいはリンパ節細胞のTg抗体産生は, 甲状腺へのリンパ球浸潤とは無関係に, 全例で認められた. このTg抗体産生はマイトーゲン無添加でも見られたが, ConAあるいはPHAで強く刺激された. ヒトのリンパ球の場合には最も抗体産生を刺激すると言われているPWMがほとんど無効であったことは興味深かった. Tg抗体の産生量と血中のTg抗体価には相関は認められなかった. 以上より, BB/Wラットでは甲状腺にリンパ球浸潤が無くとも甲状腺に対する自己免疫反応が全身的に起こっていることが示唆された. 今後は, このようなTg抗体産生にTg自体の異常(構造的異常あるいは量的異常)が関与しているか否かを検討して行きたい. そのために, 現在monoclonal抗体を作製中である.
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[Publications] 原義人;石井淳他: 日本内分泌学会雑誌. 62. 382 (1986)
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[Publications] 谷川俊則;石井淳他: 日本内分泌学会雑誌. 62. 383 (1986)
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[Publications] 原義人;石井淳他: 日本内分泌学会雑誌. 63. 1079 (1987)
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[Publications] 河津捷二,石井淳他: 糖尿病. 29. 286 (1986)
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[Publications] 原義人;石井淳他: ホルモンと臨床秋季増刊号『甲状腺学の進歩'87』石井淳編集(総ページ数312). 35. 19-27 (1987)
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[Publications] J.Ishii;M.Yanagisawa;Y.Hara;etal: Frontiers in Thyroidology(eds.Medeirous-Neto G.& GaitanE)Plenum Publishing Corp.New York. 2. 1329-1334 (1986)
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[Publications] Y.Hara;J.Ishii: "Recent Progress in Thyroidology(PP239-244)" Crystal House Press, 556 (1987)
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[Publications] 原義人;石井淳: "糖尿病動物(PP67-71)" 医薬ジャーナル社, 305 (1987)