1987 Fiscal Year Annual Research Report
温阻血肝を用いる同所性肝移植の研究ー特に抗酸化剤の効果についてー
Project/Area Number |
61480269
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土肥 雪彦 広島大学, 医学部, 教授 (90034024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅原 利正 広島大学, 医学部, 助手 (70175850)
福田 康彦 広島大学, 医学部, 講師 (40093801)
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Keywords | 同時性肝移植 / 抗酸化物質 / 虚血一血流再開細胞障害 / カフ血管吻口 |
Research Abstract |
1)同所性肝移植ラットモデルの確立と技術的な完成度を確認したので種々の程度の温阻血を加えて肝を適出した同所性に移植後,ラットの生存率と抗酸化剤であるCoQ_<10>投与効果を検討した. 温阻血を加えない新鮮肝を移植されたレシピエントラットの生存率は87%(13/15),温阻血を15分および30分受けたドナー肝移植後の生存率はそれぞれ50%(3/6),0%(0/12)であった. よってラット肝移植における阻血限界時間は15〜30分であることが判明した. そこでドナーラットへCoQ_<10>を前投与すると30分温阻血肝移植ラットの生存率0%(プラセボ群)を50%へ著明に上昇させた. CoQ_<10>前投与によりプラセボ群で認められた移植後の組織過酸化脂質(マロンジアルデヒド)の上昇を完全に抑制し,その結果移植後のATP再合成を促進し肝viabilityを延長させ,かつ肝機能および組織学的変化を正常化させた. よってCoQ_<10>前投与の抗酸化作用により移植肝の生体膜障害を保護したことが推測される. 今後,碑植血流再開後細胞障害機構をさらに明確にするため内在性抗酸化物質(グルタチオン,VitE,CoQ等)の変動,また長期冷却保存肝の移植への応用を検討したい. 2)種々の温阻血肝植後の肝ATPレベルの回復並びに流量の回復を検討したところ,移植後の胆汁流量がATP回復および移植肝のviabilityとよく相関することが明らかとなった. よって移植後の胆汁流量観察は,非浸襲的な肝機能発現を判定する上で信頼できる指標であることが判明した. 3)移植血管吻口時の温阻血時間短縮を計る目的で,このラット肝移植モデルの門脈,肝下部下大静脈血管吻口にcuff法を用いたが,cuffの材質(ポリエチレン)が異物であるため臨床肝移植には不適と考えられる. そこで吸収性材質(ポリラクタイド)で作られたcuffを作成し,ラット移植モデルに応用したところ20週目で完全に吸収され消失していた. 今後移植後の長期観察,ブタを用いた大動物への応用を検討する.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sumimoto K.;Inagaki K.;Fukuda Y.;Dohi K.;Sato Y.: Transplantation Proceedings. 19. 1098-1102 (1987)
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[Publications] Sumimoto K.;Inagaki K.;Marubayashi S.;Kawasaki T.;Dohi K.: European Surgical Research. 19. 73-74 (1987)
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[Publications] Sumimoto K.;Inagaki K.;Ito H.;Marubayashi S.;Yamada K.;Kawasaki T.;Dohi K.: Surgery. 102. 821-827 (1987)
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[Publications] Sumimoto K.;Inagaki K.;Marubayashi S.;Kawasaki T.;Dohi K.: Transplantation Proceedings. 20. 958-960 (1988)
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[Publications] Sumimoto K.;Inagaki K.;Yamada K.;Kawasaki T.;Dohi K.: Transplantation. (1988)
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[Publications] Sumimoto K.;Dohi K.;Ikada Y.;Fukuda Y.;Tsuchiya T.: Transplantation. (1988)