1988 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌の腹膜転移の成立機序およびその治療・予防に関する研究
Project/Area Number |
61480283
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
古賀 成昌 鳥取大学, 医学部, 教授 (90093591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 章彦 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (80186311)
飯塚 保夫 鳥取大学, 医学部, 助手 (80127430)
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Keywords | 胃癌 / 腹膜転移 / 腹腔内遊離癌細胞 / 持続温熱腹膜灌流 / 腹膜漿膜細胞傷害因子 |
Research Abstract |
胃癌の腹膜転移は主として漿膜面に浸潤した癌細胞が脱落・遊離し、腹膜に着床・増殖することによって成立すると考えられている。我々が漿膜浸潤面積と腹腔内遊離癌細胞の陽性率を検討した結果、漿膜浸潤面積が20cm^2以上になると腹腔内遊離癌細胞の出現頻度は高くなり、このような症例では術後5年生存率も不良となる事が明らかとなった。そこで我々は、漿膜浸潤陽性進行胃癌に対する治癒手術直後に腹膜再発防止対策として、持続温熱腹膜灌流法を創案した。すなわち、温熱と抗癌剤併用による腹膜灌流によって腹腔内の遊離癌細胞の物理的排除と、温熱と抗癌剤による癌細胞への直接的傷害を目的とした治療法である。本法によって、腹腔内遊離癌細胞には形態学的変化が認められ、また、実験的には腫瘍細胞の細胞回転が阻害されることも判明した。本療法の臨床効果についてはrandom control studyによって、術後5年生存率の向上がみられ、本療法の有用性が確められた。一方、漿膜浸潤を伴う胃癌例の腹膜表面を走査電顕で観察した所、肉眼的に腹膜転移が認められなくてもその前段階と考えられる漿膜細胞の変化がみられた。動物実験にてラット癌性腹水の上清を非担癌ラット腹腔内へ注入した所、同様の漿膜細胞の変化がみられ、癌性腹水中に漿膜細胞を傷害する因子が存在することが示唆された。腹水上清にプロテアーゼ阻害剤を混和しても、その傷害作用は阻害されなかった事より、傷害因子はプロテアーゼ以外の物質であるとも考えられた。この因子を分析するためラット癌性腹水上清をゲル濾過し、各分画を非担癌ラット腹腔内へ注入した結果、アルブミン分画以下の特に、低分子量域に於て腹膜傷害作用が強くみられた。この低分子量域を分子量測定用標準物質を用いて分析すると、M.W.1000以下であり、腹膜漿膜細胞傷害因子はペプチドあるいは、塩類々似物質とも考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 飯塚保夫: 癌の臨床. 33. 273-277 (1987)
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[Publications] Nobuaki Kaibara: Cancer. 60. 136-139 (1987)
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[Publications] Shigemasa Koga: Cancer. 61. 232-237 (1988)
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[Publications] Atsunobu Murakami: Oncology. 45. 236-241 (1988)
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[Publications] 広岡保明: 米子医学雑誌. 39. 80-91 (1988)
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[Publications] 貝原信明: 日本外科学会雑誌. 89. 1521-1523 (1988)
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[Publications] S.Koga: "Current Research in Hyperthermia Oncology" E.Kano, 13 (1988)
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[Publications] H.Yoshioka: "Hyperthermic Oncology '86 in Japan" Y.Onoyama, 2 (1986)