Research Abstract |
1.ラットのarea 4および6の低頻度皮質刺激(LFCS)てんかんモデルにおいて, 刺激側尾状核, 黒質に対するmuscimolの微量注入により, 発作が促進されたことより, 前年度, 尾状核ー黒質,黒質ー視床回路による視床・皮質の脱抑制が発作の進展を促進するという仮説を提示した. 一方, 同モデルを用いて, 同側の尾状核の破壊を行い, 発作の早期段階より刺激閾値が上昇する所見を得, このことは前年度の仮説を裏付けるものであった. 2.ネコの皮質運動領にpenicillin焦点を作成したてんかんモデルでは, 発作間歇期の刺波(発作波)が尾状核の条件刺激により抑制されたが, 発作段階が進展し, 自己維持性放電が出現した時点では, この尾状核刺激の抑制効果は認められなかった. 3.1,2の結果は, てんかん発作の種々の段階において, 尾状核の機能が動的に変化しうることを示唆するものである. 4.ラットLFCSてんかんモデルにおいて, 刺激側尾状核内に透析チューブを刺入, in vivo dialysis法により, 発作時の尾状核内のドーパミン(DA)の関与について検討した. ケタラール浅麻酔下に, リンゲル液25μl/分でdialysisチューブを灌流し, 灌流液中のDAおよびその代謝産物を高速液体クロマトグラフィーにて定量した. 発作全般化時には尾状核内の細胞外DA量はほとんど大きな変化を示さないのに対し, DOPACは発作中より減少傾向を示し, 発作終了1分後には発作前値の54%と最低となり, 10分後には76%, 以後, 徐々に回復傾向を示し, 30分後には発作前値とほぼ同程度にまで回復した. このことは発作時にはDAのturnoverが抑制されていることを示す結果であった. 5.次年度には, 同様のin vivo dialysis法を慢性動物に応用し, 無麻酔, 無拘束下で尾状核内のDAの変化について検討し, その他, GABA, glutamateの変化についても検討する予定である.
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