1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480363
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
太田 文彦 近大, 医学部, 教授 (50088530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 克彦 近畿大学, 医学部, 助手 (70179878)
甲田 嘉彦 近畿大学, 医学部, 助手 (50170189)
細井 裕司 近畿大学, 医学部, 講師 (80094613)
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Keywords | △Fと語音聴取能 / 語音聴取におけるMLD / ことばの速さと文章了解度 / 語音聴取の半球優位性に影響する因子 |
Research Abstract |
語音によるコミュニケーションは聴覚障害以外の因子によっても妨害されるため、ある種の難聴者では、難聴の程度がそれほど高度でないのに高度のコミュニケーション障害を訴えることがある。そのような因子を検討するにあたり、まず難聴の度合をどのように表現するかが問題となる。勿論純音オージオメトリーが基本的検査であるが、純音聴力必ずしも自覚的の難聴度とは平行しない。とくに本研究の対象となるような難聴者では両者が比例しないことが多い。そこで自覚難聴度の数量化を試み、いくつかの項目ごとに過去の最良の聴力を100とした指数表示を行わせ、ある程度再現性のある指数値が得られることが判った。コミュニケーションを妨害する因子は多いが、まず語音弁別能自体を直接左右する因子となりうるものとして、△Fをとりあげ語音弁別能と関連づけて検討をはじめたが、未だ△Fの簡便で確実な測定法は得られていない。第2に雜音下の語音聴取能をとりあげた。語音聴取時に同側、反対側、両側耳へノイズ負荷を加え、純音のMLDに準じて語音弁別能を検討する予備実験を行った。第3にことばの速さの問題をとりあげた。ことばの速度を普通よりやや早い目と遅い目のサンプルを作り、とくに老齢者について検討した。明らかにゆっくり話す方が了解度は良いが、裸耳と補聴耳を比べると、補聴により早口の方が少し良くなり、遅口の方はあまり変らないという結果も得た。呈示レベルとの関係をさらに検討する必要がある。第4に両耳分離能において一耳へのメッセージの他耳の語音聴取への影響、大脳半球優位性の問題を検討するために、両耳に同時に異なる無意2音節語音を聞かせた。健常者で左右耳へ与えた語音の単耳聴明瞭度に著しい差があれば明瞭度優位、単明聴明瞭度100%の語音のペアでは右耳優位の結果を得た。この問題にはさらに複雑な要因の関与もあり、さらに分析的に検討をすすめる必要がある。
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Research Products
(2 results)