1988 Fiscal Year Annual Research Report
インプラントの病理学-非抗原性異物による生体反応の病理細胞学的研究-
Project/Area Number |
61480374
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石木 哲夫 新潟大学, 歯学部, 教授 (70018406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 進一 新潟大学, 歯学部, 助手 (70196517)
福島 祥紘 新潟大学, 歯学部, 助教授 (00018631)
鈴木 誠 新潟大学, 歯学部付属病院, 講師 (50107778)
森 雅美 新潟大学, 歯学部, 助手 (60107779)
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Keywords | 異物 / 非抗原性 / マクロファージ / 異物巨細胞 / 合成ハイドロキシアパタイト / インプラント |
Research Abstract |
前年に引きつづきラット皮下に0.65-30μmのハイドロキシアパタイト微粒子を注入し経時的にさらに実験を重ねた。光顕的にはH・E、アザン・マロリー 鍍銀染色、PAS反応、Stable form acid phosephatase等、電顕的には通法のウラン-鉛染色、ルテニウムレッド染色およびペルオキシダーゼ反応をおこなった。その結果(1)HAP粒子に対する軟組織の反応は注入後の急性炎症は速やかに消退し、組織、細胞の変性、壊死は認められず、マクロファージ、多核巨細胞および少数の線維芽細胞からなる非特異的異物反応と考えた。(2)小型粒子は、マクロファージ、多核巨細胞に貧食されてphagosome、phagolysosomeが形成され、時間の経過とともにこれらは互いに癒合し、微粒子数も増加した。微粒子を貧食したマクロファージは次第に散在し、血管周囲に多数みられるようになり稀に血管内にも認められた。phagolysosome内には空胞やミエリン様構造物も認められた。(3)大型粒子は貧食されることなく、マクロファージ、多核巨細胞に取り囲まれた。微粒子を取り囲む細胞間は次第に狭くなり互に細胞表面のmicroprojectionをジッパー様にからませ複雑な嵌合を示した。microprojectionの細胞膜下にはsubplasmalemmal Iinear densityが散見され、細胞間の結合をより強固にするものと考えられた。(4)未熟なマクロファージは次第に成熟・分化し、ペルオキシダーゼ反応では、血液単球、浸潤したマクロファージ、組織球とともにlysosome顆粒に陽性像がみられ両者の判別はつかなかった。(5)ルテニウムレッドによる微細組織化学的には、マクロファージ、多核巨細胞の細胞表面は同反応陽性の糖衣で被覆されており、未熟なマクロファージでは薄く、成熟・分化とともに厚くなり、複雑な嵌合を示すと再度薄くなった。糖衣が微粒子の認識・貧食過程で重要な役割を果たしていると考えられていた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 富井康年: 新潟歯学会雑誌. 17. 65-82 (1987)
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[Publications] 森雅美: 新潟歯学会雑誌. 17. 99-115 (1987)
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[Publications] 石木哲夫: 日本歯科医師会雑誌. 40. 294-296 (1987)
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[Publications] Shin-ichi Shimizu: Biomedical Research. 9. 95-111 (1988)