1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
Project/Area Number |
61480477
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
分子遺伝学・分子生理学
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
香川 弘昭 岡山大学, 理学部, 助教授 (10022732)
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Project Period (FY) |
1986 – 1987
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Keywords | 線虫 / パラミオシン / 発現プラスミドベクター / 筋肉蛋白質遺伝子 / モノクロナール抗体 / 抗原決定部位 / 無脊椎動物 |
Research Abstract |
線虫筋肉蛋白質パラミオシンの遺伝子構造を決定した. パラミオシンの全遺伝子を含むと思われるハイブリッドラムダファージDNAの制限酵素断片をプラスミドに再クローン化して塩基配列決定用のDNAを調整した. DNA断片をリガーゼで環状化した後超音波処理して任意の小断片を作り, M13ファージに挿入して, ^<35>S-dCTP標識によるサンガー法で塩基配列を決定した. これまでに12kbの塩基配列を決定し, 大型計算機によるANALYSEQ, パソコンによるDNASISソフトで編集, イントロン, エクソン領域の推定を行った. 予測されたアミノ酸配列は, 精製パラミオシンのCNBr断片のアミノ酸配列及び, 抗パラミオシン抗体と反応する融合蛋白質のアミノ酸配列と完全に一致した. 二次構造予測では, 全域にわたってα-ヘリックス構造をとり得ることがわかり,すでに報告されている結果を再確認した. アミノ酸配列は, ミオシン重鎖アイソフォームのロッド部分と40%の相同性があり, 両蛋白質遺伝子は同一起源であることが示唆された. このことは, 筋肉の太い線維の発生過程を調べる手助けとなると共に, パラミオシンの存在しない脊椎贓物での筋肉発生, 特に構造形成を考えるうえで参考になると思われる. 塩基配列決定に用いたDNA小断片を発現ベクターに組み込み, 免疫化学的に解析して得られた, パラミオシンの抗うさぎ血清, モノクローナル抗体に対する反応部位の同定は, パラミオシンの構造形成時の他分子との相互作用や, リン酸化部位の決定などの研究に役立つとおもわれる. 一部決定された犬糸状虫のパラミオシンのアミノ酸配列との相同性や, 抗線虫血清のマツノザイ線虫パラミオシンとの反応性は, 寄生虫感染の診断や, 有害線虫防除についての研究に手がかりを与えるかもしれない.
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[Publications] Hiroki Kagawa and Keiko Gengyo: Nucleic Acid Research, Symposium Series. No. 19. 81-84 (1988)
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[Publications] Hiroaki Kagawa;Keiko Gengyo;Jonathan karn and Sydney Brenner: J. Mol. Biol.
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[Publications] 科学編集部編, 香川弘昭 他: "生物科学の新しい展開-分子から細胞へ-, 分担 C.エレガンスの分子生物学" 岩波書店, 8 (1987)