1986 Fiscal Year Annual Research Report
重度・重複障害児の死亡事例に関する教育学的調査研究
Project/Area Number |
61510137
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
大坪 明徳 特殊研, その他, その他 (70000271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 滋夫 山梨大学, 教育学部, 助教授 (70000297)
平井 保 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 研究室長 (60000296)
久田 信行 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 研究員 (10165102)
落合 俊郎 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 研究員 (00150053)
川住 隆一 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 研究員 (20124208)
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Keywords | 重度・重複障害児 / 死亡 / 養護学校 / 重症心身障害児 |
Research Abstract |
重度・重複障害児への学校教育が普及し、また、早期療育も広がりつつあるが、この子供達の中には、就学前あるいは義務教育終了以前に死亡してしまう事例がある。従来、これらの事例に関しては、死因や予後についての医学的分析がなされている。だが、教育学的観点から分析した研究は皆無に等しい。本研究は、以下の2つの調査を通して、就学前児と就学児の中の死亡事例について、実態把握及び典型例の詳細な生育経過に関する資料を収集し、教育学的観点より多面的に分析し、重度・重複障害児の生命を脅かさない教育の在り方について考察することを目的としている。 第1次調査として、全国の養護学校100校(精薄47校,肢体31校,病弱22校)に調査票を郵送し(全体回収率91%),昭和58〜60年度における学校種別及び教育形態別(通学,施設訪問・家庭訪問教育)の死亡数等について実態把握を行った。統計的分析により、通学児童・生徒の3年間の平均死亡率は、精薄養護学校0.20%、肢体0.54%、病弱1.08%、施設訪問教育対象児に関しては、精薄2.43%、肢体2.58%、病弱2.97%、家庭訪問教育対象児に関しては、精薄2.98%、肢体4.54%、病弱2.56%という結果が得られた。また、死亡時年齢に関しては、学校種別や教育形態別にかかわりなく、小学低学年及び中学入学前後の年齢に死亡例が多い傾向にある、等々の結果が得られた。 第2次調査として、教育・療育機関の協力を得て、教育的観点からより検討を要すると思われる重度・重複障害事例の生育・教育及び死亡経過等について、関係者の意見も聴取しながらの調査を行った(継続中)。子どもに過度の負担をかけ、時に病気を併発し、時に死に致らしめかねない諸要因を、体重、通学時間、親や教師の係わりの態度、教育・保育・訓練内容、環境の変化、等々の観点から探っている。次年度は、本調査を継続すると共に、報告書を作成する予定である。
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