1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61510208
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum |
Principal Investigator |
川口 徳治朗 神奈川県立博物館, 学芸部, 主任学芸員 (90124510)
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Keywords | 貝塚群 / 貝製品 / 構成貝類種 / 生産用具的貝器 / 装飾用具的貝器 / 貝刃 / 貝輪 |
Research Abstract |
貝塚群と貝製品の問題を生態学的な面から検討するために、各地方ごとに調査を行なってきたが、最終年度は補足として九州地方および北海道地方の貝塚群を対象に、文献資料を中心に調査した。これらの調査による資料の集積結果を基に、本題である「縄文時代貝塚出土の貝製品に関する用途的研究」の問題解明を試みた。3年間の研究調査の具体的調査項目としては、(1)縄文時代貝塚を地域別に貝塚群としてとらえる。 (2)貝塚群ごとに立地環境を把握する。 (3)貝塚群ごとに構成貝種類を把握する。 (4)貝塚ごとに貝製品と使用貝種類との関係を検討する。 (5)貝製品各種の素材、形状、製作手法、使用痕を検討する。 (6)貝製品の精密な観察結果より、機能の想定を行なう。 (7)諸要素を総合的にとらえ、用途と貝塚群の生活圏および縄文時代における貝製品のあり方を考究する。以上のこととした。これにより新たに得た知見は、 〈1〉北海道地方および九州地方南部(沖縄県を含む)の貝塚群は独特の地域分化を存し、本州、四国などの縄文文化と一律に対比できないところがある。 〈2〉貝塚群において立地環境の異なる貝塚では、貝製品の種類にも差異が認められる。 〈3〉貝製品は生産用具的貝器と装飾用具的貝器に大別できる。生産用具的貝器の貝類種は貝塚産出の構成貝類種とほぼ一致するが、装飾用具的貝器の貝類種は必ずしも一致しない。 〈4〉生産用具的貝器のうち、最も多く出土する器種は貝刃で、関東地方と東北地方の貝塚群に顕著である。 〈5〉装飾用具的貝器のうち、最も多く出土するのは貝輪で、東北、関東、東海、北陸、中国、瀬戸内、九州などの各地方に広範囲に分布している。 〈6〉貝刃と貝輪は形態分類、製作手法、使用痕、出土状態などから機能及び用途に関する類推が可能である。 〈7〉縄文時代における貝製品は、石器や骨角器に比べ種類、数量とも劣性であるが、生活用具の一部としてある程度固定的な位置を占めていたと思われる。
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