1986 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下における高密度近藤状態と価数揺動状態の安定性と超伝導
Project/Area Number |
61540245
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
四方 周輔 東海大, 教養部, 助教授 (30056311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巨海 玄道 北海道大学, 理学部, 講師 (00111146)
石井 次郎 東海大学, 札幌教養部(理学部物理学科), 教授 (10055650)
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Keywords | 高密度近藤状態 / 価数揺動 / 超伝導 / 高圧力 |
Research Abstract |
本年度は、まず価数揺動体のCe【Ru_3】【Si_2】について実験データをまとめた。その結果、超伝導転移温度Tcの圧力効果は正で非常に大きくdTc/【d^゜】=3.7×【10^(-2)】K1Kbarである。しかし約30kbarで異常があり、これ以上の圧力ではTcは下がる。一方低温で抵抗は【T^2】依存を示すが、2つの【T^2】領域があり両元の係数とも圧力効果が大きい。しかしやはり30kbar以上で圧力効果は小さくなる。この30kbar付近の異常は、価数揺動状態からLa化合物に見られるような4価の状態へ移行するためと考えられる。結果は論文として発表した。 一方、高密度近藤体の典型物質であるCe【Cu_6】について、静水圧領域の結果をまとめ論文として発表するとともに、30kbar以上の準静水圧領域の実験を行ない学会発表を行った。ここで近藤温度は圧力とともに急激に上昇することを明らかにし、100kbarを越えると室温付近に来ることがわかった。さらに高圧になるにつれ【T^2】領域が高温側へ延びて、その係数は小さくなる。電気抵抗のピークの値と温度で規格化してみると、60kbarの前後で2つのカーブに分かれることが明らかになった。これは結晶場と近藤温度とのかねあいによるものと思われる。しかしながら、圧力120kbar,温度1.1K以上の範囲では超伝導は観測されなかった。 さらに、価数揺動系で2次元系の高温超伝導体として最近発見されたLa-Sr-Cu-O系化合物の圧力効果を調べた。Tcの圧力効果は大きく、〜4×【10^(-3)】/kbarの割合で上昇する。これは静水圧効果であるが、準静水圧効果ではもっと大きな〜2×【10^(-2)】/kbarの割合でTcが増加する。超伝導転移は2段になって表われ、低温側の超伝導状態では臨界電流が非常に小さく、密度で2.6×【10^3】A/【m^2】であり、圧力とともに上昇する。しかし高温側超伝導では大きく、また反磁性帯磁率も大きく、バルクな超伝導と思われる。
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[Publications] S.Yomo: Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 54-57. 477-478 (1986)
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[Publications] P.H.Hor: Physica. 139 8140B. 378-381 (1986)
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[Publications] A.Shibata: Journal of Physical Society of Japan. 55. 2086-2087 (1986)
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[Publications] Y.Onuki: Journal of Physical Society of Japan. 55. 4566-4567 (1986)
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[Publications] S.Yomo: Japanese Journal of Applied Physics. 26. (1987)
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[Publications] H.Takahashi: Japanese Journal of Applied Physics. 26. (1987)