1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540544
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山崎 柄根 都立大, 理学部, 助教授 (90008714)
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Keywords | キリギリス類 / 種分化 / 琉球列島 / 対馬 / 直翅目の分類 |
Research Abstract |
本年度の日本各地の気象は、昆虫類の成育にとって甚だ悪条件がつづいたと言え、各地で成虫の発生が遅れた。そのためキリギリス類の調査時期の選定が甚だ困難であった。本年度の調査でもっとも重点をおいたのは、分布地が北海道道南部と推定されるヒメツユムシの一種であったが、二度の北海道調査でも、その実体の解明にはいたらなかった。しかしながら、新たにこの種の別種を得、北海道にもヒメツユムシ類が生息することだけは確認した。再度、道南部の調査を試みたいと考えている。 次に、本年度、上記研究課題で研究を行ったもので、発表したものについて述べる。どちらも日本昆虫学会の機関誌「昆虫」誌上に掲載された。 1.琉球列島八重山諸島に分布するヒメツユムシ一種が、Phlugiolopsis属に属することをつきとめ、これを報告した。この種は、島としての成因の古い西表島と石垣島両島にのみ分布するものと思われ、いわゆるこれらの島の固有種で、昼なお暗いジャングル内の樹上に生息している。本種を研究した結果、1940年にロンドン近郊のキュー植物園の熱帯温室から発見記載された、いわゆる"キュー植物園種"と呼ばれるPhlugiolopsis henryiに極めて近い種と考えられた。キュー植物園種は熱帯温室にのみみられたことから、いずこからか英国へ侵入したと考えられ、かつ長い間その原産地の知られない種であった。今回の琉球列島からの本属の発見は、中国大陸亜熱帯圏に同属のものがいるらしいと推定されることと併せて、キュー植物園種が東洋熱帯または亜熱帯から植物についてロンドン近郊へ運ばれたのであろうと推定された。2.対馬に産する大形キリギリス類の一種を、朝鮮半島の材料と比較して、新種として認定し、発表した。対馬の固有種と考えられ、その系統に関して論考した。おそらく最後の海退時に対馬へ侵入したのであろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Yamasaki: Kontyu. 54. 353-358 (1986)
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[Publications] T.Yamasaki: Proc.Japn.Soc.syst.Zool.33. 52 (1986)
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[Publications] T.Yamasaki: Kontyu. 54. 723-733 (1986)