1986 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールヒマラヤの上昇プロセスに関する岩石学的および年代学的研究
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61540550
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
在田 一則 北海道大学, 理学部, 助手 (30091408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雁沢 好博 北海道教育大学, 函館分校, 助手 (40161400)
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Keywords | ネパールヒマラヤ / 山脈形成 / フィッショントラック年代 / 衝上運動 |
Research Abstract |
これまで収集された岩石サンプルを整理し、顕微鏡鑑察による変成鉱物の組み合わせをもとに中央ネパールの広域的な変成分帯図を作成した。その結果によると、変成作用は低ヒマラヤ帯からその北の主中央衝上断層帯にかけて緑泥石帯、黒雲母帯、ザクロ石帯と北方(層序的上位)へ増加し、主中央衝上断層帯はザクロ石帯にほぼ一致する。主中央衝上断層帯の北側の高ヒマラヤ帯の南部はラン晶石帯(一部珪緑帯)で、北へザクロ石帯、黒雲母帯と変成度は減少する。 主中央衝上断層帯北部のヒマラヤ片麻岩類の角内石-黒雲母石灰質片麻岩の角内石、白雲母-黒雲母花崗岩質片麻岩(正片麻岩)の黒雲母について、K-Ar年代を米国テレダイン社に依頼して測定した結果、61.5±3.1 56.7±2.8Maの年代を得た。この値は従来知られているヒマラヤ片麻岩類のK-Ar年代(30〜15Ma)よりも明らかに古い。しかし、Rb-Srアインクロン年代では古第三紀あるいは古生代、先カンブリアの年代も報告されている。したがって、この年代は古い年代の若返りを示す可能性が強い。いっぽう、予察的に行なった上記花崗岩質片麻岩のジルコンのフィッショントラック年代測定の結果は2.2±0.2Maであった。ジルコンの閉止温度を200℃(約7Kmの深度に相当)と仮定すると、この岩石の上昇速度は約3.2Km/my(3.2mm/年)となる。これはいろいろな地質学的データから推定される更新世以降のヒマラヤの上昇速度(2〜3Km/my)とほぼ一致する。主中央衝上断層帯の岩石について、あるいはスフィン、アパタイトなどの閉止温度の異なる鉱物についても測定は行なったが、計測、計算はまだである。なお、普遍的に産するザクロ石についてもフィッショントラック測定を試行したが、ウラン含量が少ないため誤差が多く、今後検討を要する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 本多照幸: 地球科学. (1987)
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[Publications] 木崎甲子郎(編)在田一則・林大五郎: "上昇するヒマラヤ" 築地書館, (1987)
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[Publications] 存田一則: "松井愈教授記念論文集" 松井愈教授記念論文集刊行会, (1987)