1986 Fiscal Year Annual Research Report
松島湾および北上川下流域における完新世の海水準変動
Project/Area Number |
61540568
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤井 昭二 富大, 教養部, 教授 (30019236)
|
Keywords | 海水準変動 / 考古学 / 貝塚 / 波食窪と雲形浸食 / 古地理 |
Research Abstract |
北上川そいに海進がどこまで及んだか、その後の変化を知るため、波食窪を主とする旧海岸地形、貝塚の分布とその性格を主として調査した。 1.波食窪とその類似地形が広く分布している為、次の2点が問題になった。 (1)一つは日本海地域や、その南では波食窪に二枚貝やフジツボ、穿孔貝の穴が保存されるが、当地域では冬季の鱗脱でそれらは失われ、波食窪類似地形と区別できないことである、三陸海岸を2度ほど調査したが、この地域は古期岩類で固いためか、波食窪の発達は悪く、穿孔貝の跡も発見できなかった。 (2)この地域の第三系凝灰岩には波食窪に似た、雲形浸食(宇留野)がある。例えば、山形盆地の山寺の同質岩にも波食窪類似の地形がある。海抜 mの高さに、1万年前後の海岸を示す波食窪が分布しようもない。雪形浸食と波食窪を区別することは困難である。宮戸島北端の波食窪はこの地域での唯一の波食窪にカキの付着している所である。ここは雲形浸食の特徴をそなえているので、カキが付着してなければ波食窪といいきれない。そこで柴田町槻木でみられるように波食窪状地形が等高に並ぶ所は海食とした。 2.考古学の文献では珍品を列擧するため、汽水の貝塚に僅か海棲の貝が産出しても、それらを汽水の貝と等価で記述するので、必ず原典か貝塚を一々調査しないと環境をきめれない。 3.日本では一般に縄文前期が海進の全盛期であるが、ここでは早期が全盛期とされているが、この地域の唯一の早期の【^(14)C】年代は他地域の前期の値を示している。早期と前期の【^(14)C】年代の測定を依頼している。 4.1と2が解決されるので調査の季節までに2〜3枚の古地理図を描くことが可能となる。
|