1986 Fiscal Year Annual Research Report
本邦スカルン型鉱山床の成因的特徴と生成環境に関する総括
Project/Area Number |
61540587
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島崎 英彦 東大, 理学部, 助教授 (50013751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 正明 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (50162714)
鹿園 直建 東京大学, 理学部, 助手 (10011751)
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Keywords | スカルン型鉱床 / 白亜紀珪長質火山活動 / 亜鉛・鉛鉱床 / 同位体変質 / 神岡鉱床 |
Research Abstract |
本年度の野外調査は、主として岐阜・滋賀・兵庫など西南日本内帯において典型的なスカルン型鉱床の発達する地域と、福島県下の阿武隈花崗岩類に伴うスカルン型鉱床において行った。その結果、神岡・神通・稲越・加賀沢などの飛騨帯の鉱床、祝山・青土・鮎河・梅谷・高野・平福など内帯の鉱床小倉・出雲など阿武隈山地の鉱床など、神岡以外は殆ど従来研究例のない鉱床の試料の採取を行うことが出来、鉱床生成区の議論において空白となっていた地域をカバー出来る見通しとなった。また神岡鉱山地域では主として母岩の採取を試みた。これらの試料及び従来までに採取している試料を用いて目下スカルン鉱物・鉱石鉱物の同定及び化学分析による鉱化作用の特徴の抽出、同位体分析による鉱化溶液の起源の推定を行っている。研究は次年度も続行する予定で、中間段階ではあるが得られている主な結果を列記する。 1岐阜県神岡地域では天水による広範な同位体変質がみられ、また神岡亜鉛・鉛鉱床自身も天水起源の鉱液によって形成されている。神岡鉱床の成因については従来種々議論されているが、これにより白亜紀末期の珪長質火山活動により形成された可能性が極めて濃厚となった。 2近畿地方の青土・鮎河・梅谷・平福も亜鉛・鉛鉱床で、スカルン鉱物は神岡・中竜のような従来研究されている亜鉛・鉛鉱床のものと化学的性質が酷似している。白亜紀末期の珪長質火山活動に関連していると考えられ、これらについても天水起源の鉱液の関与が示唆されるデータが得られた。 3飛騨帯の神通・稲越・加賀沢は鉄スカルン鉱床であり、近接する神岡鉱床とは異っている。地表概査及びスカルン鉱物の性質からは、この鉱床が初生的には層状鉄鉱床であったものが変成作用によりスカルン化した可能性がある。今後は鉱石中の微量成分などを追求すればこの仮説が検証できると考えられる。
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[Publications] SHIMAZAKI,Hidehiko: Geochemical Journal.
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[Publications] SHIMAZAKI,Hidehiko: Geochemical Journal.