1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山谷 和彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (80002054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 寛 北海道大学, 工学部, 教授 (60001187)
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Keywords | 超伝導 / 低次元導体 / 粒子線照 |
Research Abstract |
本学工学部に設置されている北大バンディグラフ加速器を用いて、低次元超伝導体の代表的物質であるTa【Se_3】にプロトン照射を行った。プロトン照射量は1×【10^(15)】〜4×【10^(16)】フルエンス・【cm^(-2)】である。電気抵抗(R)、磁気抵抗(R(H))及び超伝導遷移温度(Tc)の粒子線照射効果を探求した。 1)電気抵抗の照射効果 室温でのRは照射量に比例して増加した。これは室温に於いてもRがフォノン散乱より格子欠陥による散乱の寄与が大きいことを示俊している。末照射試料のRが温度(T)に対して直線的に変化せず、負の曲率を持っていることの関連しているかもしれない。照射された試料のRは低温で極小を示し、金属-絶縁体転移を示した。極小値を示す温度は照射量と共に上昇する。絶縁体領域でのRのT依存性はInTに対して直線関係を示した。この温度依存性を示す機構として(1)アモルファス転移(2)近藤効果(3)電子局在が考えられる。 2)磁気抵抗の照射効果 末照射試料の磁気抵抗は磁場(H)の2乗に正比例する通常のふるまいを示す。一方、照射試料のR(H)は【H^2】に対して直線関係にならない。低磁場ではH-依存性を高磁場領域では【H^2】-依存性を示した。これは絶縁相ぜの電子がHで容易に影響される状態にあることを意味する。照射試料のX線解析は試料がアモルファス状態になく、単結晶であることを示した。このことから、抵抗極小は電子局在もしくは近藤効果による可能性が大きい。 3)超伝導遷移温度の照射効果 1×【10^(15)】フルエンス・【cm^(-2)】の照射量で超伝導は破壊され、1.2K以上ではTcは観測されなかった。これは通常の超伝導体と比較すると照射効果が非常に大きい。低次元性が反映された結果と解釈される。低照射量でTcの照射効果を行う必要がある。
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