1986 Fiscal Year Annual Research Report
新しいスパッタ法による垂直磁気記録用薄膜の高速作成
Project/Area Number |
61550225
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉田 順作 富大, 工学部, 教授 (70126499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 隆一 富山大学, 工学部, 助手 (80019223)
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Keywords | スパッタ / 垂直磁気記録 / 薄膜の高速作成 |
Research Abstract |
まず最初に、より良好な膜作成条件を確立するため、EPマグネトロン部分の改造を行い、それを新しく購入した高真空排気装置に取り付けてスパッタの装置を製作した。装置の初期到達真空度は約5×【10^(-7)】Torrであり、従来の値よりも約1桁以上改善された。当初はCo-Cr,Co-Zr,NiFe-Moなどの薄膜作成を予定していたが、本研究では特に、垂直ヘッド用Co-Zr膜作成を中心にEPマグネトロンスパッタ装置の有効性について検討した。Coトロイダル(円環),Zrシリンダー,Coディスクの3個のターゲットを用いる同時スパッタ法により、Co-Zr膜を作成し、装置の直流放電およびスパッタ特性を詳細に調べた。更に、スパッタ条件を種々変化させて作成した膜の物理・化学的および磁気的評価を行った結果、次に示される新しい知見が得られた。 (1)膜堆積速度は投入電力に比例し、低Arガス圧ほど高圧で0.2Pa、投入電力密度7.6w/【cm^2】で約0.16μm/minであり、基板温度上昇も約100℃程度となった。(2)作成膜の膜厚は基板の中心ほど厚く、外周部に向って単調に減少し、その変化量は低Arガス圧ほど大きく、0.2Paで約20%程度である。 (3)基板面内における飽和磁化の変化はArガス圧が0.2Paではあまり変わらないが、Arガス圧が高くなるにつれて変化の度合が大きく、10〜14KGである。又、保磁力は中心付近が大きく、外周に向って低下する傾向が見られ、値は約0.25〜1.0Oeであり、外周部ほど強い一軸磁気異方性が見られる。 (4)形状の異なる3個のターゲットを用いるため、膜中のZr含有率は10〜20at%であり、膜の面内方向に対し組成ずれが生じることが明らかにされた。今後は、組成ずれを防ぐため、トロイダルターゲットのみで膜作成を行えるようにマグネトロンの磁気回路を検討する。具体的には、放電プラズマ閉じ込め磁界の発生を直流電磁石に変えて、ターゲット表面の磁界分布を自由にコントロールできるようにする。
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