Research Abstract |
本研究は, 集計Q-V(交通量-速度)式を提案し, 日本の都市について適合する集計Q-V式の推定と, シミュレーションによる集計Q-V式の特性把握を行い, 集計Q-V式の交通需要予測・交通計画における適用性について検討した. 今年度は, 昨年度からの継続として, 道路交通センサスデータを用いた都道府県と大都市の集計Q-V式の推定を行い, 49年, 55年, 60年の3時点経年変化と地域別変化を検討した. その結果, 集計平均速度と集計交通量とが反比例関係にあり, その関係式が道路施設量の大小に依ってシフトするという仮説は成立する可能性が高いこと, ならびに, 経年的により安定した関係式を構築するためには, 地域差等の要因を考慮して, 大都市とその他などの地域別に集計Q-V式を推定すべき事が明らかになった. 今後, 地域分類, 式形のバリエーションを検討すべきであろう. また, 配分計算に基づくシミュレーションを行い, 集計Q-V式の特性を分析した. 配分対象道路網は小樽市の幹線道路網とした. 前提条件として変化させたのは, 総交通量ODパターン, 道路特性(車線数, リンクQ-V式等)である. その結果, 総交通量の増加に合わせて, 個別リンクのQ-V式と同様の関係が地域的な集計Q-V式についても成立すること, 同一交通量に関してはODパターンが均一に近いほど地域交通容量が増大する傾向があること, 道路の改良が集計Q-V式に与える影響は比較的大きいことが確認された. 従って, 集計Q-V式は, これらの前提条件に関連した交通政策の評価に敵した特性を有しており, 交通計画のマクロ的評価に対する適用可能性は高いことが指摘できた. 最後に, これらの成果と昨年度までに行った研究成果を併せて整理し, 報告書を作成した.
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