1986 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者における居住・福祉の施設需要構造に関する研究
Project/Area Number |
61550430
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 実 東北大, 工学部, 助教授 (10005366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野田 泰明 東北大学, 工学部, 助手 (00185654)
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Keywords | 高齢者 / 居住・福祉施設計画 / 施設需要構造 |
Research Abstract |
本研究は、在宅高齢者(特に寝たきり・独居・高齢夫婦世帯などの問題老人層)の生活実態を動態調査して、その主体条件と福祉サービス要求との間の構造を解明することを目的としたもので、結果は次の通りである。 1.在宅ケアの先進事例の概要を把握するために、主都圏ですでに在宅ケアを実施している自治体や民間団体を訪問し、ヒアリング調査を行った。そこで、民間マンパワーの組織化、訪問エリアと通所エリアの連関と各地域エリア同志の関係、現状の福祉メニューの量的拡充と各メニュー間の整合性の確保などが今後の課題として存在していることを知った。 2.仙台市に居住する問題老人層の60年度分の調査票を主たる資料として、その主体条件とケア需要について考察した。「寝たきり老人」についてまとめると、介護条件は、男性老人では配偶者中心、女性では嫁中心で、主体の性別によってかなりの差が見られること。全体に、ホームヘルパーの派遣を希望する割合は低いが、嫁が介護者である場合、特にその傾向が顕著であることを知った。経済状態も重要なファクターのひとつであり、一般世帯-低所得世帯-生活保護世帯の3つの層でとらえた場合、低所得世帯においてホームヘルパー・訪問看護の要求が最も強い一方、主治医をもたない割合が最も高いことから、この層で矛盾が顕在化しやすいことがわかった。「独居老人・高齢夫婦のみ世帯」においては、全般的に、健康状態の悪さ-経済状態の悪さ-非持家の3つの要素が連関している傾向が見られ、矛盾が生活程度の低い層に集中している。特に独居老人では、健康で経済状態の共に良い層と悪い層に2極化している傾向が見られた。このように生活に矛盾を抱えていながら、ホームヘルパーに関しては要求が顕在化している例はきわめて少なく、今後、生活要求がなぜ社会化しにくいのか、その構造をより詳しく分析する必要があるものと考えられる。
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