1986 Fiscal Year Annual Research Report
Ni基超耐熱合金におけるL1⊆型化合物の安定性に関する熱力学的解析
Project/Area Number |
61550516
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大, 工学部, 助教授 (20151368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 泰二 東北大学, 工学部, 教授 (60005212)
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Keywords | 相平衡 / 耐熱合金 / 分配係数 / L【1_2】構造 / Ni基合金 / 拡散対 |
Research Abstract |
Ni基超耐熱合金は、fccのγ相にL12型構造のγ'相【Ni_3】(Al,Ti)が微細に分散した組織であり、このγ'相は温度の上昇とともに強度が増大するという特異な性質を有している。従って、γ'の体積分率とその組成によって機械的性質が大きく支配されるので、合金元素添加によるγ相とγ'相の相互溶解度の変化と分配挙動が、Ni基超耐熱合金の最も基本的因子である。しかし、γ'相は極めて微細なため従来γ相とγ'相の組成を直接測定するのは困難であった。そこで、本研究は拡散対法を用いてγ相とγ'相の相平衡と耐熱性に有害であるη相(【Ni_3】Ti)の安定性について実験を行い、次の結果を得た。 1.Ni-Al,Ni-TiならびにNi-Al-Ti系のNi側の相平衡の決定 Ni基耐熱合金の基本系であるNi-Al,Ni-TiおよびNi-Al-Ti系のγ,γ'とη相間の相平衡を測定した結果、(1)Ni-Al2元系のγ相の固溶度は従来の結果と良く一致したが、γ'相側の相境界線は従来値と異なり、温度とともに変化する。(2)Ni-Ti系のγ/η平衡において、η相は従来化学量論的な化合物と考えられていたが、ある程度の組成巾を有する化合物である。(3)Ni-Al-Ti3元系におけるγ,γ'とη相の存在域を決定し、γ'相中にはTiはかなり固溶するが、η相に対するAlの固溶度は小さい事がわかった。 2.Ni基合金のγ相とγ'相に対する合金元素の分配挙動 拡散対法によって900〜1300℃の温度範囲におけるγ相とγ'相への合金元素の分配を測定した結果、(1)Nb,V,Si,Ti,Taの各元素は、γ相よりもγ'相へ多く分配しγ'相を安定にする。(2)Cu,Co,Cr,Fe,Mnの各元素は、γ相へ多く濃縮してγ相を安定にする。(3)MoとWは、低濃度ではγ'相を、高濃度ではγ相を安定し、分配係数の濃度依存性が大きい。(4)各元素の分配係数は、アレニウス型の温度依存性を有する。(5)分配係数は、Ni-X2元系の【Ni_3】Xの安定性と関係がある事が判明した。
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Research Products
(2 results)