1986 Fiscal Year Annual Research Report
溶接材における切欠じん性の超音波による非破壊的評価
Project/Area Number |
61550545
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小田 勇 熊本大, 工学部, 助教授 (40040399)
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Keywords | 熱処理 / 強度 / 吸収エネルギ / き裂開口変位 / 超音波 / 減衰定数 / 音速 / 非破壊評価 |
Research Abstract |
材料の劣化・損傷の非破壊評価に関連して、超音波の減衰あるいは音速による機械的性質の推定法の確立を志向した。機械構造用炭素鋼S45Cに対して数種類の条件で熱処理を行うことにより性質の異なる試験材を製作し、それらにおける機械的性質と超音波の減衰あるいは音速との相関を検討した。複数個の試験片に対して同一の熱処理条件を意図しても、試験片の形状・寸法の相違などのために、厳密には試験片によって若干異なった条件となるため、機械的性質あるいは超音波による計測量に及ぼす熱処理の影響を検討するに際して、硬さをパラメータとして用いた。得られた結果を要約すると次のようになる。 1.硬さの増加につれて引張強さや降状強さは増大し、伸び率は低下する。 2.硬さの増加につれてシャルピ試験による上部棚吸収エネルギはいったんわずかに増大した後減少し、破面遷移温度はいったん低下した後上昇する傾向が見られる。 3.き裂の破壊限界開口量は硬さの増大につれて低下する。 4.硬さの増加にともない、減衰定数はいったん減少した後、飽和ないしはやや増大する傾向がみられる。また、硬さの増大につれて、音速はやや上昇した後低下する。 5.強度や伸び率と減衰定数の関係はなめらかな曲線によって表され、減衰定数の増加につれて、降状強さと引張強さは減少し、伸び率は増加する。 6.上部棚吸収エネルギと音速の関係はおおよそ直線ないしはなめらかな曲線で表され、音速の上昇につれて上部棚吸収エネルギは増大する。 7.破壊限界開口量と減衰定数の関係はおおよそ直線ないしはなめらかな曲線によって表され、減衰定数の増大につれて破壊限界開口量は上昇する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小田勇: 溶接学会全国大会講演概要. 第39集. 346-347 (1986)
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[Publications] 小田勇: 精密工学会九州支部福岡地方講演会講演論文集. 51-52 (1986)
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[Publications] 小田勇: 溶接学会論文集.