1986 Fiscal Year Annual Research Report
大環状配位子に用いた平面型錯体による酸素の活性化に関する研究
Project/Area Number |
61550597
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 義尚 九大, 工学部, 助教授 (10037757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 助手 (70150498)
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Keywords | ポルフィリン錯体 / 光化学触媒 / 前周期遷移金属 / 分子酸素の活性化 / 選択的酸素化 / 光還元反応 |
Research Abstract |
1.配位子、錯体の合成 テトラトリルポルフィリン、テトラ(ジブチルフェニル)ポルフィリンを合成し、さらに、そのモリブデン(V)、ニオブ(V)錯体を合成した。可視、ESRスペクトル測定の結果、ブチル基の導入により、μ-オキソニ量体生成の抑制、生成二量体の溶解度の向上が確かめられた。 2.光還元反応の検討 上記錯体に対して、嫌気条件下で光反応を行なった結果、ニオブ錯体について、著しい溶媒効果が見出された。溶媒分子が配位性酸素原子をもつ場合には、溶媒が配位した還元錯体が生成し、光還元に引きつづいて、溶媒の配位が進行する。一方、モリブデン錯体については、還元種に対してアクシアル配位がおこらないことが確められた。モリブデン錯体およびニオブ錯体について、光還元が配位子Π-の【Π^*】遷移に相当する光によって最も早く進行することから、反応は【Π^*】→Mへの電子移動を経て進行すると結論された。 3.再酸化反応の検討 可視、ESRスペクトルによるベンゼン中の光反応の追跡によって、ニオブの場合にはスーパーオキシド錯体を、モリブデンの場合にはμ-ペルオキシド錯体を経て反応が進行することが示された。モリブデンでは空気中の水分による加水分解が速くおこり、ヒドロキソ錯体を経て、最終的にμ-オキソ錯体を与えることが明らかにされた。これらの反応は、溶媒中に共存する化合物によって著しく異なった経路を取り、多くの化合物を基質とする酸素化、酸化反応が進行することが明らかとなった。ニオブの場合、アルコール類、フェノール類、窒素塩基の選択的酸化が可能であり、モリブデンの場合にもアルコール類、窒素塩基が基質となり得ることが明らかとなった。これ等の反応の機構を今後明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshihisa Matsuda: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 1839-1844 (1986)
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[Publications] Yoshihisa Matsuda: Chemistry Letters.
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[Publications] Yoshihisa Matsuda: Chemistry Letters.