1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐倉 詔夫 東大, 農学部, 助手 (70012078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹下 健 東京大学, 農学部, 助手 (20179922)
山中 征夫 東京大学, 農学部, 助手 (50012092)
鈴木 誠 東京大学, 農学部, 助手 (40012091)
根岸 賢一郎 東京大学, 農学部, 教授 (90011824)
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Keywords | 雑草木群落の動態 / スギ・ヒノキ人工造林地 / 植物遷移 / 植生パターン / 状態診断 / 育林・保育との関係 |
Research Abstract |
1.目的と方法 ここでは、スギ,ヒノキ造林地の雑草木群落とその動きについて遷移の観点からの生態学的な検討を行い、併せて雑草木群落の動きが育林・保育に及ぼす影響について調査することを目的とする。調査は、房総南部の東京大学千葉演習林内の既存のスギ,ヒノキ試験地において、以前から設置していた群落調査のための定置枠を使用し、造林木の成長測定や、雑草木の群落測定を実施する。とくに伐採前後における植生推移や、斜面位置のちがい、下刈りの回数及び植裁密度のちがい、間伐の影響等についての雑草木群落とその動態に注目し、調査・分析を行う。 2.結果と今後の計画 (1)スギ老齢人工林を伐採した跡地(1年目スギ造林地)の植生は、伐採前と比較して種類数が著しく増加し、種類別に多様性に富んだ植生となっていた。 (2)斜面の上部は下部と比べて木本植物(萌芽性の常緑広葉樹など)が量的に多く目立っていた。下部では草本が多い。 (3)下刈回数が多くなると、草丈の低い広葉型草本が量的に増加していた。(4)スギ造林木の初期植栽密度が高いと下刈りの最も主要な対象植物であるススキの著しい減少が早期から見られたのに対し、シダ類(コバノカナワラビなど)やつる植物は、漸次増大する傾向が見られた。 今後さらに、遷移の観点からの群落の状態診断(植生のパターン,状態,動向など)を基礎にして、スギ,ヒノキ造林地の雑草木群落の動きの実態を明らかにして行きたいと考える。そこで、現場での群落調査を継続し、資料の収集につとめるとともに群落の比較・解析及び分析等を進めて行く予定である。
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