1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560262
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
新垣 雅裕 三重大, 農学部, 助教授 (60024585)
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Keywords | 団粒 / 団粒分布 / 団粒構造 / 土壌の凝集力 / 有機質土 / 土壌構造の階層性 |
Research Abstract |
団粒の構造形成の機構を解明するに当り、初年度の研究の遂行で得られた主要な結果は、団粒分布の新しい視点による解析法と、現象的結果としての団粒分布を決定する要因であり、団粒の形態維持を定める土壌の凝集力に関する実験的考察に大別される。 1.物理的,力学的過程を考虜した団粒分布の解析法の提案 団粒分布は外力である分析力と内力としての内部結合力との相対関係で定まる。外力の条件を一定にして、外力に対する団粒の形態の維持、乾燥収縮による形状変形および外力による分離の3つの現象を考慮に入れて、団粒分布に至る過程を式化した。この場合試料の基準状態(生土)における団粒成分を行マトリクスで表わし、任意の状態における成分を列マトリクスで表わした。即ち団粒の成分量を行列で表現することにより、団粒分布が得られる過程と結果を量的に示す方法を開発した。これらの成果を学会の支部大会で発表した。 2.有機質土壌の凝集力に関する実験的検討 前項の内容を凝集力と関連づける必要がある。購入した備品により、有機物含有量を異にする有機質土層の凝集力に関する実測データを蓄積し、これらに基づき実態的事実関係を得た。毛管水の張力だけによる標準砂の凝集力を評価し、有機質試料のそれとの対比を行った。全ての試料の凝集力と水分量の関係は、ピークを持つ曲線で表わされ、ピーク点は有機物含有量が多い程高く、また高水分量側に位置するという重要な事実が得られた。これらの凝集力は10の0乗から1乗(g/cm2)の範囲内にある。有機物含有量が多い程凝集力の内力に基づく団粒形成の階層性が増し、より大きな団粒を構成するが、外力に対しては逆に弱くなるという実証的知見が得られた。 初年度はほぼ予定どうりの成果を得た。さらに構造形成上の諸知見を蓄積して、次年度に研究目的を達成する。
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Research Products
(2 results)