1987 Fiscal Year Annual Research Report
ノオノフォア抗生物質によるルーメン発酵の転換機作に関する研究
Project/Area Number |
61560326
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
星野 貞夫 三重大学, 生物資源学部(農学部), 教授 (90024546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰男 三重大学, 生物資源学部(農学部), 助手 (50153648)
脇田 正彰 三重大学, 生物資源学部(農学部), 助教授 (40024575)
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Keywords | イオノフォア / サリノマイシン / モネンシン / 肥育牛 / 黒毛和種 / 哺育牛 / ルーメン繊毛 / VFA組成 |
Research Abstract |
乳用種去勢牛28頭をサリノマイシン(SL)20及び30ppm, モネシン(MN)30ppm, 対照区(無添加)の4区に各7頭ずつ配置し, イオノフォアの飼料要求率とルーメン性状に及ぼす影響を7か月齢から292日間にわたって観察した. 給与によって増体量は影響されなかったが, 濃厚飼料の摂取量が減少し, そのため濃厚飼料の要求率が2〜8%改善された. SLとMNの間に有意な差はみられなかった. ルーメン液性状は給与によって従来報告されてきたように, プロピオン酸比率が高く, 酢酸は酪酸比率の低いVFA組成がみられた. イオノフォアのVFA組成を変更する効果は, もともとプロピオン酸優勢型の発酵が維持されている場合には小さいことが観察された. 同様な実験を16頭の黒毛和種について行った結果では, 1日当り増体量はSL20ppmの添加で有意に増加し, 濃厚飼料要求率は11%改善された. ルーメン液性状は, VFA比率の変化とともに低アンモニア濃度とプロトゾア数の減少が観察された. 乳用種雄子牛に1週齢から25週齢時までSL15ppmを給与した実験では, 増体量, 摂取量ともそれぞれ12%, 4%増加し, 飼料要求率は6%改善された. 給与によってVFA組成は肥育牛と同様な変化を示したが, ルーメン繊毛の発達様相には差がなかった. またNDF, ADFの消化率は低い傾向, NFE, タンパク質, 脂肪などのそれは高くなる傾向が認められた. SL給与によるルーメン細菌の推移を培養法で観察したところ, タンパク質分解菌は減少し, セルロース分解菌もいったん減少するが回復傾向がみられ, デンプン利用菌, 乳酸利用菌は増加する傾向が認められた. これらの菌群の変化は, 上記の消化率の変化と対応ずけることができた. SL給与によるルーメン細菌の適応も数日で可能なことが認められた. この適応現象は細菌より日数はかかるがプロトゾアにも観察できることが示された.
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