1988 Fiscal Year Annual Research Report
イオノフォア抗生物質によるルーメン発酵の転換機作に関する研究
Project/Area Number |
61560326
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
星野 貞夫 三重大学, 生物資源学部(農学部), 教授 (90024546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰男 三重大学, 生物資源学部(農学部), 助手 (50153648)
脇田 正彰 三重大学, 生物資源学部(農学部), 助教授 (40024575)
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Keywords | イオノフォア / サリノマイシン / 育成牛 / 細菌叢 / 微生物増殖量 / 消化率 / プロトゾア / 水素添加 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度めん羊で確認したイオノフォア給与による微生物叢の変更を子牛について観察した。ホルスタイン種子牛をサリノマイシン(SL)20ppm、ポートマイシン(PT)10ppmを濃厚飼料に添加給与、抗生物質を含まない同一濃厚飼料給与の3群に分け、3〜25週齢の期間飼養した。4、5、6、7、9、11、14、23週齢時にルーメン液を採取し嫌気性ロールチューブ法による培養を実施し、基質利用性の違いから菌叢の検索を行った。プロトゾアは直接検鏡により分別計数した。イオノフォア給与によりプロトゾア数は全期間通して減少し、培養可能な総菌数は増加した。デンプン利用菌、乳酸利用菌、タンパク質利用菌はイオノフォア給与群で増加がみられ、タンパク質利用菌以外はめん羊での結果とよく一致した。セルロース利用菌はSL区で若干の減少、PT区で若干の増加がみられ、一定の結果が得られなかった。ルーメン液ではプロピオン酸の増加、酢酸・酪酸の減少、アンモニアの減少、αーアミノ態窒素の増加がみられ、微生物叢とのよい対応があった。SL添加による微生物量の変化と飼料の消化性への影響と細菌の水素添加作用への効果をみるため、ルーメンと12指腸にカニューレを装着しためん羊を用いて実験を行い次の結果を得た。1.微生物増殖量は、SL添加によりプリン塩基、ジアミノピメリン酸のどちらのマーカーを用いて測定しても減少し、12指腸への流下量も少なくなった。2.ルーメンでの乾物、有機物などの消化率は低下するが、全体の消化率は同等であった。3.窒素の消化率は添加により高まり、窒素保留も改善された。4.ルーメン液性状はSL添加でみられる典型的なものであった。5.ルーメン液、ルーメン細菌、12指腸内容物の脂質構成はSL添加によって影響を受け、飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多いものとなり、水素添加の抑制が観察された。
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[Publications] Kobayashi,Yasuo: 日本畜産学会報. 59. 643-652 (1988)
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[Publications] Kobayashi,Yasuo: Nutrition Reports International. 38. 987-999 (1988)