1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560331
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥 祐三郎 北海道大学, 獣医学部, 助手 (60133716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 宗裕 北海道大学, 獣医学部, 助手 (70177096)
神谷 正男 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (30081665)
大林 正士 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60001517)
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Keywords | 円葉条虫 / Echinococcus multilocularis / Taenia taeniaeformis / Taenia crassiceps / 先天的抵抗性 |
Research Abstract |
1.猫条虫幼虫型に対する各種実験用動物の感染性は様々であり、マウスの感受性は免疫抑制処置により上昇したが、エゾヤチネズミやスナネズミの感受性は影響を受けなかった。免疫以外の因子を解明する目的で、虫卵の孵化に及ぼす胆汁の影響をin vitroで調べ、さらに小腸内での孵化率を小腸ソーセージ法により解明したが、孵化はエゾヤチネズミやスナネズミの小腸内でも十分起こることが明らかとなった。孵化後の発育を調べるために、様々な感染経路を介してオンコスフェアを接種したところ、肝臓および腸管粘膜が抵抗性の重要な部位であることが示唆された。なお、本寄生虫自身の株差も示され、これらの先天的抵抗性の機序は、宿主の種および系統だけでなく、寄生虫の株によってもかなり異なることが判明した。2.多包条虫の虫卵採取およびその取り扱いには、ヒトへの感染の危険を伴うので現在の虫卵採取方法(イヌへの感染も含めて)を改善する試みを行なった。最終的には小腸の中部を他の小腸から分離し、血行は保存したまま両端を育端とし、その中にカニューレを留置する方法に決定した。このようにして体外からの感染、小腸内の洗浄、虫卵による糞便の汚染の阻止が可能となってきている。なお、二次包虫症によるマウスの系統間の発育は現在実験中である。3.Taenia crassicepsの虫卵による各種小動物への経口感染は非常に感染率が低く、各動物の感受性の解析が困難であった。今後のT・crassicepsの感染はオンコスフェアの皮下接種によって行なうこととした。T.crassicepsの幼虫は外出芽により増殖し、接種したオンコスフェアが定着した幼虫なのか、その定着した幼虫が産出した幼虫なのか判定が困難であったが、両者に形態的差を認めたので、正確なオンコスフェアの定着率の算定が可能となった。なお、これらの小哺乳動物の腸内においても幼虫から成虫への若干の分化が認められた。
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Research Products
(2 results)