1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570029
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩堀 修明 長崎大, 医学部, 教授 (80025626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横平 弥生 長崎大学, 医学部, 助手 (90174862)
清田 悦子 長崎大学, 医学部, 助手 (70186352)
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Keywords | 脳幹網様体 / 組織発生 / カスミサンショウウオ |
Research Abstract |
脳幹網様体の本質を、発生学的な面より検索する目的で、カスミサンショウウオの脳幹網様体の発生過程を、ゴルジ鍍銀法、ニッスル染色および髄鞘染色を用いて検索した。孵化直後の個体の脳幹は、主に外套層より成り、辺縁層は、周辺部にわずかに認められるのみであった。神経細胞は、外套層にほぼ限局しており、辺縁層には認められなかった。ゴルジ鍍銀標本でみると、外套層の細胞は、辺縁層に向かってのびる樹状突起をもった、単極性の梨状形の細胞であった。孵化後一週間の個体になると、辺縁層はやや広くなり、髄鞘染色標本でみると、辺縁層内の神経線維に骨髄形成が著明になった。ニッスル染色標本でみると、辺縁層、特に後脳の辺縁層内に、少数の神経細胞が、認められる様になった。辺縁層にみられた細胞は、外套層の細胞の一部が、遊走してきたものと考えられるが、細胞の形態は、外套層内のものとは違い、左右方向に拡がる樹状突起をもった、紡錘形の細胞であった。さらに発生がすすむと、髄脳の辺縁層にも、神経細胞が認められる様になり、次いで、中脳の辺縁層にも、少数の細胞がみられる様になった。中脳の辺縁層の細胞のうち、腹側正中部にみられた細胞群は、脚間核であると考えられ、また、視蓋の辺縁層内にも、少数の細胞がみられる様になった。成体の脳幹では、辺縁層内に多数の神経細胞が認められ、このうち、脚間核等の特定の神経核を除いたものが、脳幹網様体であると考えられる。以上より、カスミサンショウウオの脳幹網様体は、(1)孵化後に出来てくる領域であり、(2)発生過程は脚間核等と同様であって、(3)辺縁層内に、外套層の細胞が遊走した結果出来たもので、(4)発生初期には、外套層と辺縁層よりなる脳幹が、分化発育していく過程で生ずる領域の一つであると思われ、(5)従来考えられていた様に、原始的で未分化な領域というよりも、むしろ分化のすすんだ領域ではないかと考えられる。
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Research Products
(2 results)