1986 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの視床下部におけるメラニン凝集ホルモン様物質の意義
Project/Area Number |
61570032
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
内藤 延子 昭和大, 医学部, 講師 (30053903)
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Keywords | ラット / 視床下部 / メラニン凝集ホルモン(MCH) / α-MSH / 神経ペプチド / 免疫組職化学 |
Research Abstract |
61年度は、シロサケ下垂体から抽出されたメラニン凝集ホルモン(MGH)の抗体を用いて免疫組織化学的にラット脳内におけるMCH様免疫陽性ニューロン(MCH様ニューロン)の分布および形態的特徴について検討した。脳室内にコルヒチンを注入されたラットでは視床下部に多数のMCH様ニューロンが検出された。陽性のニューロンは室傍核後方より乳頭体核前方までの広い範囲に分布しており、特に不確帯,視床下部外側領域,脳弓周囲などに多く見られる。しかし、室傍核,視索上核,背内側核,腹内側核および弓状核には陽性細胞は認められない。MCH様ニューロンの形状は主に不確帯に分布している紡錘形のものと、主に視床下部外側領域に分布する多極性のものに分けられる。以上の結果から、MCH様のニューロンの分布は既知のいずれの神経ペプチドの産生細胞の分布とも異なり、MCH様物質が未知のペプチドであることが示唆された。ところで、ラット視床下部外側領域には免疫組織化学的にα-MSH陽性細胞が分布することが知られている。このことから、3μmの隣接切片を用いてMCHとα-MSH様陽性細胞を比較検討した結果、全てのMCH様ニューロンはα-MSH抗体でも染色されることが明らかになり、両ペプチドの免疫陽性反応は同一細胞に共存することが確かめられた。更に、電顕レベルの免疫細胞化学ではMCH様陽性反応は果粒(90-250nm)内に限局して観察され、MCH様ペプチドが分泌型ペプチドであることが示唆された。現在、MCHとα-MSHの免疫反応が同一果粒内に共存するものか否かについて検討中である。また、ラット脳におけるMCH様物質の生理的意義を探るために、MCH様免疫陽性線維の投射領域の検索も進めており、正中隆起内層を通り下垂体後葉へ投射している線維や視床,視床下部,大脳皮質などにも断片的に陽性線維を観察している。特に、弓状核細胞周囲のMCH様陽性線維については、更に電顕レベルの解析が必要である。
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[Publications] 内藤延子,中井康光,川内浩司: 解剖学雑誌. 61. 556 (1986)
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[Publications] N.Naito;I.Kawazoe;Y.Nakai;H.Kawauchi;T.Hirano: Neuroscience Letters. 70. 81-85 (1986)
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[Publications] N.Naito;Y.Nakai: Journal of electron microscopy. (1987)