1986 Fiscal Year Annual Research Report
HRP細胞内染色による網膜神経細胞のシナプス結合の解析
Project/Area Number |
61570078
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
大塚 輝弥 岡崎共研機, その他, 助教授 (10051814)
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Keywords | 網膜 / 細胞内染色 / シナプス / 水平細胞 / 視細胞 / horseradish peroxidase |
Research Abstract |
脊椎動物網膜の水平細胞には心理物理学で知られている3つの色信号系に対応する色光応答を示す細胞が見つかっている。すなわち色光刺激に対して常に過分極性応答を示すL型と赤光で脱分極、緑光で過分極性応答を示す2相性C型さらに黄光で脱分極、青・赤光で過分極性応答を示す3相性C型である。これまでの知見からこのような色光応答の分化は錐体と水平細胞の固有の神経回路によって発生すると考えられている。そこで本研究ではこの神経回路を形態学的に解明するため水平細胞にhorseradish peroxidase(HRP)を細胞内注入し、シナプス結合する視細胞の種類と数を定量的に調べた。3種類の錐体は内節の油滴の有無・色によって形態学的に同定した。実験はカメ網膜の水平細胞にガラス微小電極を刺入し、電気泳動的にHRPを細胞内注入した後、網膜を固定してDAB法にてHRPを発色した。さらに網膜は脱水・包埋し光顕及び電顕用水平断連続切片を作製して、今回新しく開発した『光顕と電顕連続切片像の重ね合わせ法』を用いて染色した1個の水平細胞にシナプス結合する全ての視細胞の種類と数を解析した。L型水平細胞は105個の杆体及び錐体視細胞とリボン・シナプス結合していた。2相性C型水平細胞は32個の赤・緑・青錐体とまた3相性C型水平細胞は19個の赤・青錐体とシナプス結合していた。これまで渡銀法による水平細胞の電顕解析からC型水平細胞は赤錐体と直接結合しないと報告された。しかし本研究によってカメ網膜のC型水平細胞は多数の赤錐体とシナプス結合していることが明らかになったことから、C型水平細胞の赤色光に対する応答には従来の定説である負帰還シナプスを経由する信号と今回発見した赤錐体から直接伝達される信号の2つの成分があると考えられる。次年度はこの新しい形態的所見の生理学的役割を調べるため水平細胞の色光応答を解析して色情報抽出の信号伝達機構を明らかにする。
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[Publications] Ohtsuka,T;Kouyama,N.: Journal of Comparative Neurology. 250. 141-156 (1986)
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[Publications] Ohtsuka,T;Kouyama,N.: Neuroscience Research(Supplement). 4. 69-84 (1986)
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[Publications] Yasui,S;Ohtsuka,T.: Vision Research. 26. 583-598 (1986)
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[Publications] 大塚輝彌,金子章道: "実験生物学講座9 神経生物学 受容系-網膜の研究" 丸善, 351(12) (1986)
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[Publications] Ohtsuka,T. Ed.by G,Adelman: "Cone photorecepter,color-specificities.In'Encyclopedia of Neuroscience'." Birkhauser-Springer, (1986)