1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今村 育男 阪大, 医学部, 助手 (90176496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 裕行 大阪大学, 医学部, 助教授 (90112052)
和田 博 大阪大学, 医学部, 教授 (30028295)
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Keywords | 【N^Υ】-β-リボシルヒスチジン / ADP-リボシル化 / 【NAD^+】グリコヒドロラーゼ / ヒスタミン |
Research Abstract |
ヒスチジン血症患者尿より発見された【N^Υ】-β-リボシルヒスチジンは、その後の研究により、ヒスチジンに対するADP-リボシル化反応を通じて生合成されることが推測された。本年度はADP-リボシル化反応を行なっていると推察している【NAD^+】グリコヒドロラーゼの精製・性質と、妊娠ラットにおける本酵素の局在を追求した。ラット脾臓をホモジナイズし、膜分画を取り、リパーゼにより可溶化を行なった。可溶化した【NAD^+】グリコヒドロラーゼは、DEAEセルロース、CM-セルロース、セファデックス G-200ゲルろ過により約250倍精製できた。この精製各ステップにおけるヒスチジンへのADPリボシル化活性と【NAD^+】の水解活性の比は一定値を示し、【N^Υ】-リボシルヒスチジンの生合成は、【NAD^+】グリコヒドロラーゼにより行なわれていることがほぼ明らかになった。精製【NAD^+】グリコヒドロラーゼはゲルろ過で分子量約8万、【NAD^+】に対するKm値は50μMと測定され、可浴化する前とほとんど同じ性質を保持している。ADP-リボシル化の基質として、ヒスチジンの他、ヒスチジンを含むペプチド(ヒスチジルロイシン、ピログルタミルヒスチジルプロリンアミド、ポリヒスチジン)及びヒスチジンメチルエステルをより良い基質とする。さらに、ヒスチジン残基へのADP-リボシル化は、ヒスタミンにより阻害を受け、リジン、カダベリン、アルギニン、アルギニンメチルテステルなどには阻害をうけなかった。また、妊娠尿中のリボシルヒスチジンの排泄量は、妊娠18週でヒスチジンの排泄増に伴い急増、さらに32週ごろに増大することが判明した。妊娠ラットを用いた検討から、初期の急増は、各臓器におけるヒスチジン量の増大によってもたらされ、後期の増大は、造血組織である胎児肝臓における生合成によることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)