1986 Fiscal Year Annual Research Report
C.difficileの産生する毒素活性の細菌生態学的制御機構
Project/Area Number |
61570218
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小沢 敦 東海大, 医学部, 教授 (50055638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部, 教授 (00055865)
大西 信彦 東海大学, 医学部, 助手 (30051717)
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Keywords | C.difficile / CF培養 / 細胞毒活性作用 |
Research Abstract |
合成ペニシリン投与後に生じた下痢患者の大便内細菌叢の解析の結果では、C.difficileは分離されることなく嫌気性グラム陽性球菌の分離頻度が高く且つ量的優位性を示したという成績が得られた。この事実に着目し、PeptostreptococcusmagnusあるいはStreptococcus parvulusとC.difficileとを連続流動培養(CF培養)系を用いて混合培養した場合に、C.difficileの細胞毒活性作用が共存菌によってどのような修飾をうけるかについて検討した。C.difficileを単独CF培養系に接種した場合、24時間後に定常状態に達し、約【10^7】/ml生菌単位の菌数で観察期間中推移し、芽胞数は接種後3日目で約【10^5】のレベルに達し、その後慚次減少の傾向がみられた。また細胞毒活性作用は接種後3〜4日目に高値に達し、以後著明な変動はみられなかった。P.magnusを先住菌として接種してのちC.difficileを接種した場合、両菌は共存し、芽胞数の変動,細胞毒活性作用の変動のパターンは、C.difficile単独の場合と比較しほとんど差がみられなかった。更にS.parvulusを接種してのち、C.difficileをCF培養系に加えた場合は、細胞毒活性作用の発現が遅く、且つこの時期に芽胞数の低下傾向が見られ、前2者と比べて赴を異にする様相が観察された。以上の結果を総括すると、CF培養系において発現した細胞毒活性作用は、S.parvulus共存下ではC.difficile単独群,P.magnus共存群と比し有意に低い価を示した。C.difficileの総菌数と細胞毒活性作用との関係においては、これらの間に積極的な相関性はみられなかった。そして細胞毒活性作用はC.difficileの芽胞数と平行的関係がみられる傾向にあったが有意な相関はみられなかった。然しながら、C.difficileの総菌数に対する芽胞数の比の低下と細胞毒活性上昇という現象は逆相関性を示す成績が得られた。一方Gnotobioticマウスを用いる実験系においても、S.parvulusとC.difficile共存群において細胞毒活性作用の低下が見られた。
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[Publications] 山澤敦,高橋靖侑,相場勇志,山本敬子: 厚生省特定疾患 消化吸収障害調査研究班. 44-49 (1985)
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[Publications] 山澤敦,高橋靖侑,鈴木紘一: 厚生省特定疾患 消化吸収障害調査研究班. 77-81 (1986)
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[Publications] 山澤敦,高橋靖侑,相馬勇志: 臨床検査. 30. 609-616 (1986)
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[Publications] Takako Yamamoto;Yasuyuki Takahashi;Yuji Aiba;Nobuhiko Ohnishi;Atsushi Ozawa: Microbiology and Immunology.
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[Publications] 蜂須賀養悦 監修 川田十三夫,三輪谷俊夫,山澤敦,野本亀久雄,吉川昌之助,中島泉 編集: "細菌学はここまで進んだ-細菌生態学的立場を中心とした感染症の解析" 菜根出版, 464 (1986)