1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飛田 渉 東北大, 医学部, 助手 (10142944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 洋西 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40133962)
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Keywords | 呼吸調節 / 上気道筋 / 横隔膜筋電図 / 呼吸中枢 / 圧-気流速度曲線 |
Research Abstract |
上気道の調節系と肺胸郭系の調節系とは互いに影響しあい呼吸器全体の調節機構が成立っているが、不明な点も多く、本研究では呼吸運動に伴なう胸郭系と上気道の動態の相互関係を次の3項目について検討、それぞれについて興味ある知見が得られた。 1.動物における上気道と下部気動を含む肺胸郭系の分離モデルの作製:麻酔成犬の頚部気管を喉頭より約5cm下方で切開し、上気道と肺胸郭系を分離してそれぞれの断端側より気管カニューレを挿入し自発呼吸させた。上気道気管カニューレには気速計を連結しポンプで吸気側方向へ準静的に吸引して上気道の圧一気流速度曲線を得た。肺胸郭系の情報としては一回換気量の変化、横隔膜筋電図を得た。本モデルにより肺胸郭系に種々の刺激を与えた時の上気道圧-気流速度曲線から得た上気道動態の把握が可能となった。 2.化学受容体を介して呼吸中枢を刺激した時の上気道圧-気流速度曲線の検討:上記のモデルで下部肺を介し高炭酸ガスあるいは低酸素負荷し、化学受容器を介して呼吸中枢の活動を高めると上気道の圧-気流速度曲線はコントロールの曲線に比し上方へ偏位し上気道は開大した。しかも上気道圧-気流速度の上方偏位は負荷の程度に依存した。 3.吸気抵抗負荷時の呼吸運動に伴なう肺胸郭系と上気道の動態の検討:下気道を介し肺胸郭系に種々の吸気抵抗を負荷した場合の上気道の圧-気流速度曲線はコントロールに比し吸気抵抗負荷が大きくなるに従がい上方へ偏位し吸気筋活動に依存して上気道抵抗が減少した。 以上の如く機械的にまた化学的に呼吸中枢を刺激することにより、肺胸郭系へのドライブとともに上気道筋へのドライブも並行して増加する可能性が示唆された。本研究は近年問題になっている睡眠時無呼吸症候群の上気道閉塞メカニズムの解明の第一歩と言える。
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[Publications] 飛田渉,他: 呼吸. 5. 1278-1286 (1986)
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[Publications] Hiroshi,Miki et al: J.Appl.Physiol.