1986 Fiscal Year Annual Research Report
血小板特異抗原系の解析と同種ならびに自己抗体の特異性に関する研究
Project/Area Number |
61570581
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤村 欣吾 広島大, 原爆放射能医学研究所, 講師 (80034114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏本 淳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50034070)
前浜 修爾 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (30165659)
木村 昭郎 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (70127645)
今村 展隆 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 講師 (60110821)
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Keywords | PAIgG / PBIgG / 血小板膜抗原 |
Research Abstract |
本年度の計画として血小板抗体の検出法の確立と対応抗原の検索の検討を行った。血小板抗体の検出:特発性血小板減少性紫斑病症例(ITP)を中心に酵素免疫測定法,ロケット免疫電気泳動法を用いて血小板結合IgG(PAIgG)及び酵素免疫測定法を用いて血清中の血小板抗体(PBIgG)を検索した。ITP61例中44例72%にPAIgGは陽性を示した。PBIgGは6例(9.8%)に陽性を示した。ロケット免疫電気泳動法,酵素免疫測定法との間に同一症例を同一検体でPAIgGを測定していないが、陽性率からは差は認められなかった。血小板減少を伴うSLE9例中8例(87%)にPAIgGの陽性を認めたが、PBIgG陽性者は認めなかった。ITP症例において血小板数10万/μ1以下の症例では24例中20例(83%)にPAIgG陽性であるが、10万/μ1以上に増加した症例においてもPAIgG陽性例があり、血小板数とPAIgG値は必ずしも逆相関を示さなかった。このことはすべてのITPが単一の原因で発症するとは限らないことを示している。又PAIgGの意義について定量性と細胞障害性が問題となるが、PAIgGが血小板に結合している部位、いわゆる対応抗原に差があるのか否か注目される。対応抗原の検索:今回対応抗原の検索を一部の症例につき、患者血清を用いて行った。方法は正常人10人から得た血小板より、ショ糖密度勾配法によって血小板膜を分離し非還元の条件下でSDS PAGEを行いニトロセルロース膜に転写し、酵素抗体法にて患者血清と血小板膜蛋白との反応性について検討した。PBIgG陽性例,陰性例を含めて15例について検討した結果、全例血清中には血小板膜蛋白と反応する抗体を検出出来なかった。ITPの脾リンパ球培養ITP症例5例の摘脾時の脾リンパ球を培養し、その上清を現在保存しており脾リンパ球からの血小板抗体産生能とその抗体分析を検討予定である。次年度計画としてより鋭敏な対応抗原の検索法の確立と、血小板より抗体を解離し、PAIgGの対応抗原を明らかにしたい。
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