1986 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス島B細胞の再生能および再生促進因子に関する研究
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61570641
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米村 豊 金沢大, 医学部, 助手 (20167042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 寛伸 金沢大学, 医学部附属病院, 医員
小矢崎 直博 金沢大学, 医学部附属病院, 医員
西村 元一 金沢大学, 医学部附属病院, 医員
松田 裕一 金沢大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 膵大量切除 / 糖尿病 / 膵再生 / 3-アミノベンズアミド |
Research Abstract |
膵大量切除(90%)ラットにポリ(ADP-リボース)合成酵素阻害剤である3-アミノベンズアミド(3-AB)を投与し、残存B細胞のDNA合成能、細胞分裂能【^3H】-thymidineによるautoradiography,Bromodeoxyuridine投与による標識数(LI)、およびviniristine投与によるMitotic Index(MI)から検討した。3-AB投与群では生食のみを投与したControl群にくらべ3日、5日目のDNA合成能(LI)が有意に高い値を示した。(B細胞)。さらにB細胞のMIも術後1ケ月後まで高値を維持し、Control群にくらべ有意差をみとめ上昇した。しかし、A・D・PP細胞ではDNA合成に対し3-ABは全く影響を及ぼさなかった。また術後1ケ月目の残存膵ランゲルハンス氏島B細胞の体績は、3-AB投与群では5.484±1.899【mm^3】であったのに対し、Control群では1.579±0.375、無処置群では1.172±0.371【mm^3】と有意に低値を示した。糖尿病発症率(1日1g以上の尿糖排出ラット)は、AB投与例では35%であったのに対し、Control群では100%と有意にAB投与群では糖尿病発症が抑制された。 以上より3-ABは膵大量切除後の残存膵B-細胞のDNA合成を特異的に促進させ、その結果B細胞の再生による過形成が出現し、糖尿病発症が抑制されるものと考えられた。また3-ABは残存膵ラ島B細胞のNAD量を保存させ、B細胞の機能も維持させるものと思われた。一方、control群ではB細胞本来の有する再生能の低さのため十分な修復再生が起こらないため糖尿病へ移行するものと考えられた。 したがって3-アミノベンズアミドは全く新しい糖尿病治療剤になる可能性が示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiroshi Okamoto;Hiroshi Yamamoto;Yutaka Yonemura: ADP-ribosylation of proteins,Springer-Verlag,Berlin,New York,Tokyo.410-416 (1985)
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[Publications] Yutaka Yonemura;Toru Takashima;Koichi Miwa,et al: Diabetes. 33. 401-404 (1984)
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[Publications] 高嶋達: 膵臓. 1. 93-103 (1986)
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[Publications] 米村豊,宮崎逸夫,高嶋達,松木伸夫,荻野茂,沢敏治,高島茂樹,三輪晃一: 日本外科学会誌. 85. 356-362 (1984)
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[Publications] 米村豊,橋本哲夫,高嶋達,松田祐一,宮崎逸夫: 日本消化器外科学会誌. 19. 836-839 (1986)