1988 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス島B細胞の再生能および再生促進因子に関する研究
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61570641
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米村 豊 金沢大学, 医学部, 講師 (20167042)
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Keywords | 膵切除 / 膵B細胞の再生 / ポリ(ADP-リボース)合成酵素阻害剤 |
Research Abstract |
ポリ(ADP-リボース)合成酵素阻害剤による膵大量切除後のB細胞再生効果をイヌを用いて確認し、臨床応用へのステップとすることを目的とした。方法は、ポリ(ADP-リボース)合成酵素阻害剤であるニコチン酸アミド0.3g/kg/日を雑種犬に5日間静注した後70%以上の膵切除を行い、さらに術後も連日0.3g/kg/日のニコチン酸アミドを投与した。また、ニコチン酸アミドのかわりに生食を投与した群を作製した。切除後1ケ月目にiv-GTTを施行、point-counting法により残存膵B細胞の体積比率の算出および残存膵内ins ulin 含量の定量を行った。また、膵切除後5日目にオンコビン0.05mg/k g/×4を静注し、B細胞のmitotic indexの算出を行った。(stathmokinetic study) iv-GTTの結果、FBSは生食群で116±14mg/dl、NA群で92±8mg/dlとNA群が低く、4insuliny、insalinogenic index、K値はそれぞれ生食群で7.0±5.9μv/l、0.029±0.02、0.46±0.29%/min、NA群で17.5±4.3μt/l、0.06 ±0.02、1.55±0.32%/minとなりいづれもNA群で高値であった。膵切除1ケ月後の残存膵B細胞体積比率およびinsulin 含量は生食群で1.01%、246v/g、NA群で9.18%、1.322v/gと両者ともNA群が有意に高値を示した。 また、stathmokinetic studyによる膵切除後5日目のB細胞mitotic indexは生食群0.24%、NA群1.22%とNA群が有意に高率であった。 以上よりポリ(ADP-リボース)合成酵素阻害剤は膵切除後のB細胞再生を促し、耐糖能の改善をもたらすと考えられ、ポリ(ADP-リボース)合成酵素阻害剤の臨床応用への可能性が示された。
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