1986 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌関連抗原(PCAA),膵組織抗原(PaA)に対する単クローン抗体の臨床応用
Project/Area Number |
61570650
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島野 高志 阪大, 医学部, 助手 (80144476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 武貞 大阪大学, 医学部(外科学), 教授 (60028496)
門田 卓士 大阪大学, 医学部(外科学), 助手 (20174477)
小林 哲郎 大阪大学, 医学部(外科学), 助手 (40162002)
稲治 英生 大阪大学, 医学部(外科学), 助手 (50159943)
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Keywords | 腫瘍マーカー / 膵癌関連抗原(PCAA) / 膵組織抗原(PaA) / 膵癌胎児性抗原(POA) / 胎児膵 / モノクローナル抗体 / 癌の免疫学的診断 / 酵素免疫測定法 |
Research Abstract |
1.膵癌関連抗原(PCAA)に対するモノクローナル抗体 膵癌患者腹水より抽出、精製した膵癌由来PCAA(PCAAp)を免疫原としてモノクローナル抗体を作製した。96穴マイクロプレートにPCAAを固相化した酵素免疫測定法(EIA)にてスクリーニングし、さらに免疫組織学的に膵癌組織と強く反応する2株を選び、モノクローナル抗体3B6と3F1を作製樹立した。対照としてPCAAc(大腸粘膜由来PCAA)に対するモノクローナル抗体8-15を使用し、免疫組織学的検討を行った。膵癌に対する反応性を見ると3種類の抗体は共に69%(9/13)と高い陽性率をしめしたが、非癌組織において、8-15は小腸、大腸および胃の化生腸上皮における杯細胞と強く反応するのに比べ、3B6,3F1はごく少数の杯細胞に弱い反応を認めたのみで、全く陰性の症例も存在した。現在、抗原の性状と臨床的意義を検討している。 2.膵組織抗原(PaA)について 膵癌肝転移巣よりPaAを抽出精製した。精製PaAの分子量は50万であり、30%の糖部分と70%の蛋白質よりなる糖蛋白質である。PaAに対する特異抗血清はゲル沈降反応にて正常血清や正常膵、肝、肺、小腸、大腸の抽出液とは反応しなかったが膵癌と脾臓の抽出液に反応をしめした。さらにニトロセルロース膜を用いたドットブロッティング法により患者血清中PaAの定量を行った。正常人27例は全例陰性で膵癌患者は16/18例(89%)が陽性であった。炎症性疾患患者(白血球1万以上の胆嚢炎、肺炎、虫垂炎等)は17/25例(68%)が陰性で8例が弱陽性であった。現在、酵素免疫測定法を開発中である。 3.胎児膵に対するモノクローナル抗体 ヒト胎児膵細胞に対するモノクローナル抗体、FP-1,FP-2,FP-3はそれぞれ導管、腺房、島細胞に特異的に反応する抗体である。FP-1は膵癌組織に16/23例(70%)と高率に反応しそのエピトープはペプタイドと考えられた。FP-2は分子量5万の物質の糖鎖を認識していた。FP-3はAPUD系腫瘍と幅広く反応しその染色像から既知の22種類のホルモンや糖蛋白と異なる物質を認識していると考えられた。
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[Publications] 島野高志,他: 肝胆膵. 12(3). 381-386 (1986)
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[Publications] 島野高志: 医学のあゆみ. 137(5). 364-366 (1986)
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[Publications] 島野高志,他: 日本臨床. 44(8). 115-119 (1986)
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[Publications] Tetsuro Kobayashi;Takashi Shimano,et al.: Immunology Letters. 13. 269-272 (1986)
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[Publications] 島野高志,他: 肝胆膵. 13(4). 727-730 (1986)
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[Publications] Junko Furukawa;Takashi Shimano,et al.: Clinica Chimica Acta. (1986)
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[Publications] 島野高志: "消化器癌の腫瘍マーカー" 関西医学検査センター, 3 (1986)
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[Publications] 柴田邦隆,島野高志,他: "第5回腫瘍マーカー研究会記録 ヒト胎児膵に対するモノクローナル抗体の作製とその解析" 腫瘍マーカー研究会, 3 (1986)