1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト抗精子抗体対応抗原の精製と酵素標識免疫定量法による抗精子抗体測定系の作成
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61570793
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐治 文隆 大阪大学, 医学部, 講師 (90093418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 孝夫 大阪大学, 医学部, 助手 (00112053)
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Keywords | ヒト精子抗原 / 精子細胞膜糖蛋白 / 精子不動化試験 / 不妊 |
Research Abstract |
(1)昭和61年度の研究で同定した精子細胞膜抗原について, その物理化学的性質を明らかにした. すなわち可溶化精子細胞膜糖蛋白半精製することによって得た放射性同位元素標識抗原とヒト精子不動化血清との免疫複合体のSDSポリアルリルアミドゲル電気泳動を行い, この抗原の分子量を15,000と決定した. また酸・アルカリ・熱・各種蛋白分解酵素で処理した標識抗原と不動化抗体との結合反応を行うことにより, 抗原の安定性を検討した. その結果, この精子細胞膜抗原は酸・アルカリ・熱および蛋白分解酵素に対して不安定であることが判明した. これらの性質は, 抗原決定基が蛋白質であることを示唆するものである. (2)本抗原に対する抗体を有する不妊婦人の血清・腹水・卵胞液を採取し, それぞれの抗体価, 免疫グロブリンクラスについて検討した. 腹水・卵胞液は腹腔鏡下に採取した. 抗体価は定量的精子不動化試験で測定した. その結果精子不動化抗体は血清・腹水・卵胞液のいずれにも存在し, その免疫グロブリンクラスも同一であった. 腹水・卵胞液中の抗体価は血清の抗体価に比較して同等がやや低下していた. (3)精子不動化抗体を測定する酵素標識免疫定量法(ELISA)を開発する予備実験として, Zer社製抗精子抗体ELISA kitを用いて, その臨床応用の可否につき検討した. Zer社製ELSA kitにおける抗精子抗体陽性率は, 不妊婦人24.1%, 妊婦10.0%, 未婚婦人11.1%, 健康男子10.0%であり, 不妊婦人で優位に高値を示した. しかし精子不動化試験との相関はまったく認められず, Zer社製kitでは不動化抗体を検出できないことが明らかになった.
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[Publications] Fumitaka Saji: Acta Obst Gynec Jpn. 39. 1655-1656 (1987)
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[Publications] 佐治文隆: 日本産科婦人科学会雑誌. 40. (1988)
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[Publications] 大橋一友: 日本産科婦人科学会雑誌. 40. (1988)