1986 Fiscal Year Annual Research Report
妊産婦の体位と子宮収縮の子宮-胎盤循環に及ぼす影響とその周産期管理への臨床応用
Project/Area Number |
61570807
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
古谷 博 順天堂大, 医学部, 教授 (30052921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古堅 善亮 , 医学部産婦人科, 助手
宇津野 栄 , 医学部産婦人科, 助手 (50176707)
江原 義郎 , 医学部中央電算機室, 講師 (80103894)
深間内 一孝 , 医学部産婦人科, 講師 (60138328)
橋本 武次 , 医学部産婦人科, 講師 (80103844)
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Keywords | 血流 / 子宮収縮 / 子宮-胎盤循環 / 胎児仮死 / 胎児心拍数 / 妊婦 / ポセイロ効果 / 脈波 |
Research Abstract |
妊婦が仰臥位の時、子宮が収縮して硬くなると、その後面に接している母体の腹部大動脈ないし右側総腸骨動脈は強く圧迫されて右側下肢への血流が減少ないし完全に遮断されることが知られており「ポセイロ効果」と呼ばれている。これによって右側の子宮-胎盤循環が障害され、胎児は仮死状態に追い込まれることがある。 方法:今回の研究ではポセイロ効果を観察するために、昭和60年度の科研費で購入した「末梢循循測定装置」を用いて、妊産婦の趾端容積脈波を、また昭和61年度の科研費で購入した超音波血流計で大腿動脈の血流速度を無侵襲で連続記録した。分娩監視装置からの胎児心拍数と陣痛曲線等を同時記録した。一方、ミニコンPOP11/60を用いてデータレコーダに収録した脈波の波形解析を行った。 成績:1)ポセイロ効果は右側趾端脈波の波高の減少によって観察された。妊婦が仰臥位の時、10%の例にポセイロ効果が出現していた。母体が側臥位に体位変換すると、趾端脈波の波高は正常範囲に回復し、その後ポセイロ効果は出現しなくなった。2)ポセイロ効果によって右側趾端脈波の波高が57%に減少したとき、左側の波高は91%でまだ大きかった。3)大腿動脈の血流速度もポセイロ効果によってその波高は著しく減少し、子宮収縮によるその変化は趾端脈波よりも早く起り、その回復が遅かった。4)左右趾端脈波の経時的相関図による観察では、ポセイロ効果によって右側脈波に位相の遅れと波高の明らかな減少を示すループを描いた。5)子宮が腹部大動脈を圧迫していると考えられる場合には左右の脈波の波高は同じ程度に減少し、また位相の遅れにも差のないループを描いた。6)ポセイロ効果が観察された症例の20%に遅発一過性徐脈が記録された。それから症例では胎盤が子宮の右側後壁に付着しており、ポセイロ効果により胎児が低酸素症に陥入ったものと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宇津野栄,他: 第72回日本産科婦人科関東連合地方部会総会 講演抄録集. 51 (1986)
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[Publications] 古谷博,他: 産婦人科の世界. 39. 149-154 (1987)
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[Publications] 深間内一孝,他: 日本産婦人科学会雑誌. 39Supp.250 (1987)