1987 Fiscal Year Annual Research Report
蝸電図におけるAP起源に関する微小電極法による研究(細胞内活動電位記録にて)
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61570816
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松島 純一 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (60173829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺山 吉彦 北海道大学, 医学部, 教授 (90000976)
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Keywords | 蝸牛 / 電気刺激 / 音刺激 / 聴神経複合電位 / 自発放電 / アスピリン |
Research Abstract |
本年度は主に蝸牛の電気刺激による聴神経複合電位, 単一蝸牛神経活動電位の変化について基礎実験を行った. 蝸牛の電流刺激により誘発された電位には三つの陰性波が記録され, その内潜時が1msec以下の最初の陰性波(N_1)は電気刺激が直接神経を刺激することにより誘発される電位である. N_1の電位の入-出力曲線は音刺激により誘発されたN_1と同じである(松島ら, 未発表). 一方電気刺激で誘発される第二波(N_2)は有毛細胞, 蝸牛神経を介した電位である. 電気刺激と音刺激で誘発される各々のN_1, N_2の比較を行っているが未だ結論を得るに至っていない. さらに検討したい. 蝸牛の電気刺激により蝸牛神経自発放電頻度は抑制される(松島ら、1988a)。音刺激により誘発されるN_1は基底回転由来の電位であることは認められているが、N_2はより末梢の回転からの電位か、内耳道内の蝸牛神経由来の電位かは明らかでない。今回第3、4回転を電気的に抑制した状態で特にND2_2のみが特異的に抑制されるという結論は得られなかった(松島ら、未発表)。今後、各回転を刺激した時のN_1とN_2の変化について検討したい。 アスピリンは蝸電図のN_1を抑制すると言われている. 蝸牛の電気刺激により誘発されるN_1とN_2の潜時と振幅がアスピリン投与により障害された(松島ら, 1988b). しかし潜時と振幅の変化においてN_1とN_2は相関があったことから, 有毛細胞の障害が起きるかどうかの結論は得られなかった. 現在, アミノ配糖体の蝸牛潅流による電気刺激で誘発されたN_1とN_2の変化を検討しているが, 音刺激で誘発されたN_1とN_2との比較することによりそれらの起源について今後検討したい.
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