1986 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の細胞化学的診断基準ならびに悪性度の定量的指標について
Project/Area Number |
61570962
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木下 靭彦 神奈川歯大, 歯学部, 助教授 (70084770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 英一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (40181127)
本間 義郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60157112)
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Keywords | 口腔癌 / 細胞動態 / 顕微蛍光多重測光 / 核DNA / RNA / 放射線 / 化学療法 |
Research Abstract |
1.口腔癌細胞の核DNA-RNA量所見について。口腔扁平上皮癌新鮮例58例についてアクリジン・オレンジ染色を用いた顕微多重測光法により核DNA,RNA量を同時測光し散布図(以下Cytogram)を作製、両物質の分布動態を解析した。 1)測定方法として本法の欠点とされた核DNA量測光時のケラチン蛍光かぶりは2つの測光絞りで細胞質を十分マスクすることにより解決された。 2)初診時のCytogramはDNA量の変動にかかわらずRNA量の低い、すなわちGo期細胞が多いタイプ(【I】型),細胞回転に入る細胞が比較的多く、かつ複数のstem limeの存在が推定されるタイプ(【II】型),両物質の相関性が高く単一のstem lineによる細胞増殖を呈するタイプ(【III】型),【III】型にみられる分布の他にDNA2C域に異常に高いRNA量をもつ細胞群(Go期)が認められるタイプ(【IV】型)に大別された。これらの所見は核DNAヒストグラムに比べより詳細な細胞増殖動態の把握を可能とするものである。また放射線,化学療法の感受性との間に密接な関連も認められ、それらの客観的1指標となりうることが示された(1986.11.20.第25回日本臨床細胞学会にて発表)。 2.口腔癌治療過程におけるin vivo,in vitroによる細胞動態の解析 臨床例では放射線,Peplonycinの治療効果の高いものでは早期に高DNA,高RNA細胞すなわち【G_2】M期細胞ないし異常分裂細胞の蓄積が、逆に治療効果の乏しいものではGo期細胞の残存,蓄積傾向が高く、Cytogramの推移は治療効果の指標として意義をもつことが示唆された。また口腔扁平上皮癌培養樹立株を用いたin viro制癌剤(PEP.5-Fu)投与下での核DNA-RNA量の推移は制癌剤の作用機序を反映した変化を示した(第31回日口外学会総会)。さらに他の制癌剤および多剤併用療法による細胞動態の解析について、BudR標識法,Flow Cytometry法も加え、検討している。
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Research Products
(2 results)