1986 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健事業を基盤にした成人歯科健診の効果的な実施に関する研究
Project/Area Number |
61570971
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新庄 文明 阪大, 医学部, 助手 (30154389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 助教授 (20107022)
朝倉 新太郎 大阪大学, 医学部, 教授 (30028302)
雫石 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (00028789)
常光 旭 大阪大学, 歯学部, 教授 (40034160)
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Keywords | 老人保健事業 / 成人歯科健診 / 歯周疾患 / スクリーニング / 唾液潜血反応 / 血清抗体価 |
Research Abstract |
1、成人歯科健診ならびに歯科保健事業の効果を、昭和58〜61年度の兵庫県南光町での成人歯科健診受診者の口腔衛生状態の推移について検討した。口腔清掃状態において、debris indexの最大値が3の者の率は40〜49歳男性で59%から21%へと37%の減少、女性では同じく28%の減少をみた。また、歯周疾患の有病状況も、40〜49歳男性で36%、女性で25%の減少、50〜59歳でも男女それぞれ31%,45%の減少を見ている。なお、健診受診回数の多い者、事後措置としての個人指導を受けた者の方が有意に口腔衛生状態の良好なことから、成人歯科保健事業の有効性を指摘することができる。 2、効果的な成人歯周疾患スクリーニングの実施方法を明らかにするため、成人歯科健診において口腔診査とともに諸検査を実施して、それらの有用性を検討した。40〜59歳の男女について、唾液潜血反応を活用すれば敏感度75%、特異度74%で要医療(Periodontal Index最大8を有する者)を、また口腔清掃状態(debris score)によって敏感度75%、特異度58%で要個人指導(Periodontal Index最大6を有する者)をスクリーニングできることがあきらかとなった。また、Bacteroides Gingvalisにたいする血清抗体価の測定によるスクリーニングの精度は、要治療について敏感度44%、特異度88%、要指導について敏感度73%、特異度48%であった。 3、市町村の保健医療機関を基盤として成人歯科健診を進めてきている岩手県沢内村、宮城県大郷町、新潟県大和町および南光町では、健康教育、健康相談事業として積極的に成人歯科保健活動を併せて推進しており、それが健診の結果を高めていると判断される。また、これらの地区の健康結果より、高齢者において20本以上の歯を有することが、健康維持に重要な口腔機能保持に究めて大きな意義をもつことが示された。
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[Publications] 新庄文明,ほか: 口腔衛生学会雑誌. 36巻. 372-373 (1986)
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[Publications] 新庄文明,ほか: 日本歯科評論. 530号. 170-175 (1986)
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[Publications] 鈴木恵三,ほか: 日本歯科評論. 530号. 178-183 (1986)
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[Publications] 新庄文明: 日本歯科衛生士会学術雑誌. 15巻. 23-29 (1986)
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[Publications] 新庄文明: 歯科救急医学. 7巻. 35-52 (1986)