1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しく実験動物として開発された野生齧歯類の維持方法の開発
Project/Area Number |
61580039
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
土屋 公幸 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (30155402)
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Keywords | 新しい実験動物 / 野生齧歯類の維持方法 / ヤマネ / アゼネズミ / ヨーロッパモリネズミ / ミラルディア / セスジネズミ属 |
Research Abstract |
宮崎医科大学動物実験施設において飼育中の各種野生齧歯類を繁殖させるために、本年度は以下のような研究を行い、飼育中の野生齧歯類の繁殖成績が向上した。 1.飼育補助者1名をパートタイマーとして雇用し、飼育室の清掃、給餌(週2回ビタミンE紛末をまぶしたリンゴ小片を与えた)に専念させた結果、飼育環境が引き続き良好となり、繁殖成績が向上した。 2.前2年間の研究を通じて定着した雌雄1対1同居飼育方法により、繁殖良好な種類については兄妹交配を行った。 3.冬眠する動物として著名な日本固有種ヤマネを実験動物化するため文化庁より天然記念物飼育許可を得て導入した。 4.ドブネズミやクマネズミに近縁なインドネシア産アゼネズミの遺伝子特性を研究した結果、血清蛋白の電気泳動パターンにおいてトランスフェリンおよびアルブミンに多型があることを発見した。また毛色の突然変異による淡色型個体が多数産まれた。これらの遺伝様式を解明するため交配実験を開始した。 5.当施設で維持している科11属22種の野生齧歯類の実験動物として定着させるためには実験に使われていることが必須の条件と考えられ、以下の共同研究を実施した。1)ヨーロッパモリネズミは広東住血線虫の感受性が高く、ラットに代り得ることが明らかになった(秋田大寄生虫吉村堅太郎教授)。2)セスジネズミ属6種について、これら種間および種内の遺伝的距離を解析した。(実中研若菜茂晴研究員、慈恵医大鈴木仁助手、都臨床研酒泉満研究員)。3)ヨーロッパモリネズミ、アゼネズミ等を用い腎症候性出血熱ウィルスに対する感染実験を行った(阪大微研山之内孝尚教授)。4)ミラルディア雄乳腺に自然発生する乳癌を解析(愛知県がんセンター研児島昭徳研究員)。
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[Publications] 土屋公幸: 農開技-JR. 88-25. 23-27 (1988)
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[Publications] 土屋公幸: "1989" ソフトサイエンス社/アカネズミ(実験動物の生物学的特性データ), (1-5)