1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580072
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
中沢 文子 共立女大, 家政学部, 教授 (60086725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 淳子 共立女子大学, 家政学部, 助手 (90146530)
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Keywords | 澱粉糊化のDSC / 老化澱粉のDSC / 砂糖添加澱粉の熱的性質 |
Research Abstract |
1.老化過程の熱分析;熱糊化した澱粉を5〜50℃に保存し、老化後の再糊化吸熱スペクトルにより老化過程を追跡した。含水量と老化温度によって再糊化の吸熱スペクトルが異り、何%老化という二状態モデルでは表現できないことがはっきりした。冷蔵保存に対応する5〜10℃保存では、約25℃から再糊化反応が開始し、、天然澱粉粒の糊化開始温度52℃と比べると約27℃低い。糊化後の低温老化で生じる澱粉の配列構造は天然澱粉粒と比べて熱的に不安定なゆるやかな構造も含むことが示唆された。老化温度が高いと糊化開始温度は顕著に高くなるが、糊化終了温度はほとんど変らなかった。高温まで熱的に安定な構造は糊化後の老化澱粉と天然澱粉粒で大差がないと考えられた。 2.砂糖添加した澱粉の糊化と老化の熱分析;50%乾量澱粉に澱粉の0〜100%の砂糖を添加すると、糊化反応は高温に移動しながら無添加の時の2つの吸熱ピークが1つの巾の狭いピークに収束していく。糊化開始温度Ts,糊化ピーク温度Tpは砂糖濃度(砂糖/乾量澱粉)をx%とするとTs=0.32x+49.2℃(r=0.991),Tp=0.34x+60.5℃(r=0.998)で表され、砂糖濃度0〜100%の領域で、濃度とTs,Tpのよい比例関係が成立つ。糖水溶液中の澱粉粒は糖濃度の増加により糊化が強く抑制されることが示された。糊化後4℃で老化すると再糊化開始温度は砂糖濃度によりほとんど変らず、終了温度は濃度が高くなると高温側に移動し、スペクトルの巾は広がる。しかし老化後の終了温度の移動は大巾でなく、初回の糊化より低温で終了する。老化後よりも天然の澱粉粒が糖液中に分散している方が高温で糊化するのは、澱粉粒の表面構造の一つの特徴と考えられる。老化後の糊化転移熱量は砂糖濃度60%の時が最大であり、濃度が増すとわずかに減る傾向はあるが老化防止に効果があると云える程ではなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中沢文子: New Food Industry. 29. 75-81 (1987)
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[Publications] 山野善正 編: "食品の物性第13集" 食品資材研究会, (1987)