1986 Fiscal Year Annual Research Report
わが国におけるコミュニケーション空間に関する地理学的研究
Project/Area Number |
61580200
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 伸夫 筑大, 地球科学系, 助教授 (50015773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 悟 金沢大学, 教育学部, 講師 (20176332)
田林 明 筑波大学, 地球科学系, 講師 (70092525)
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Keywords | コミュニケーション空間 / コミュニケーション行動 / 人間の時空間行動 / コミュニケーション空間の類型化 |
Research Abstract |
本研究は、人が直接他人と会って交際し、つきあうコミュニケーション行動を分析することにより、農村部・都市部における生活空間の構造を明らかにしょうとするものである。本年度は、農村部の研究を主体とし、茨城県新治村と富山県黒部川扇状地の調査の結果、以下のような結論を得た。 1.コミュニケーション行動は、生活行動の中でも個々人に応じて、多岐にわたる。それらを類型化すると2類型に大別される。すなわち、A類型は、老人層、農業就業者、自営業者などの生産年令層そして専業主婦層に属する者により、主として週日に自集落内に滞留する住民によるものである。他方B類型の属性には、公務員・会社員などの農外就業者と大工やトラック運転手などの自営業者が含まれる。 2.A型コミュニケーション空間とB型のそれとが大きく異なるのは、日周期のものである。A型コミュニケーション空間は、週日には主として集落内にのみ形成される。一方、B型コミュニケーション空間は、集落外にその中心が存在する。すなわち、就業地におけるコミュニケーション空間が重要である。 3.週周期になると、A型のコミュニケーション行動者も、消費行動や受療行動等を契機として、集落外での人びととの交流の機会も生じる。一方、B型のコミュニケーション行動者は、集落内での知人とのコミュニケーションとともに、集落外での職場でのコミュニケーション空間の両者を有する。 4.A・B類型のコミュニケーション空間の本質的な差異は、A型のそれが自集落に主として完結する地縁的なものであり、それに対してB型のそれは、自集落にとどまることなく、むしろ自集落外に広く展開する。しかし、両類型とも、コミュニケーション行動者の属性や時間的リズムなどの諸要素が絡み合い、きわめて複雑である。
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Research Products
(2 results)