1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61840021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大矢 博昭 京大, 理学部, 助手 (00025389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 金苗 日本電子株式会社, 分析機器技術本部, 係長
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Keywords | 単発振型ヘテロダインESR / スピン磁化率 / ベクトルESR / 生体関連錯体のESR / スペクトラムアナライザーの応用 |
Research Abstract |
ESRの高感度性を生かし、その定量性をさらに発展させるために、スペクトラムアナライザー(スペアナ)をESR検出器とする新らしいESR装置を開発することを試みた。その目的は新素材,生体関連錯体の積分型ESR信号を観測し、その信号強度からスピン数を精密に求めることにある。 具体的には、1.積分型ESR信号を直接観測するために、単発振型ヘテロダインESR分光器のマイクロ波ユニットを試作した。それに必要な中間周波数用水晶発振器,アップバーター用マイクロ波フィルター,各部品結合用マイクロ波周軸ケーブル等を製作した。2.上記ユニットおよび購入したスペアナをESR検出器とするヘテロダインESR装置の総合調整を行なった。3.当装置を用いた積分型ESR観測法を確立した。4.16ビットパソコン(当研究室既設)を用いてデータ処理のためのプログラミングを行ない、感度,分解能,線型解析,スピン磁化率測定法を検討した。その結果、従来のESRよりも,(1)1mW以下の低出力では高感度である,(2)分解能は同程度である,(3)線型は従来の微分型に比して、積分型表示になっている,(4)内部基準信号を標準としてスピン数が決定できることが判明した。さらに2本以上の吸収線が観測された場合、強度および位相を異にするベクトルの和でESR信号が解析されることを発見した。これは今後数種の信号の分離に有効な手掛りを与えるものと期待される。次年度では当装置に極低温冷凍器を付置して、2Kより室温までのESR信号の温度変化を観測し、スピン磁化率を高感度で求め、新素材のミクロ特性化,生体関連物質の電子状態,ミクロ構造を明らかにする予定である。
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[Publications] K.Ichimori;H.Chya;N.Hirota;H.Masada;H.Ogoshi: Chemical physics letters. 124. 401-405 (1986)
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[Publications] Hiroaki Chya;Shigeyuki Sugito;Noboru Hirota: Journal of magnetic resonance. 68. 40-51 (1986)
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[Publications] K.Tajima;K.Ishizu;H.Sakurai;H.Ohya-Nishiguchi: Biochemical and biophysical research communications. 135. 972-978 (1986)
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[Publications] Hiroaki Ohya-Nishiguchi: Journal Magnetic Resonance.
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[Publications] 岡本信吾,疋田淳,大矢博昭: 鉄と鋼. 72. 1798-1803 (1986)
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[Publications] Noboru Hirota;Hiroaki Ohya: "Investigations of rates and mechanisms of reactions,vol.6, 4/E,part 2,chapter 11 "Electron paramagnetic resonance"" John Wiley & Sons,Inc., 51 (1986)