1986 Fiscal Year Annual Research Report
ピリジニウム型樹脂を用いる水中微生物の新しい除去方法
Project/Area Number |
61850169
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
川端 成彬 京工繊大, 工芸学部, 教授 (70025998)
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Keywords | 不溶性ピリジニウム型樹脂 / 微生物細胞捕捉作用 / 不溶性樹脂による除菌 / 塩素を用いない除菌方法 / 微生物細胞の表面電荷 / 微生物細胞の疎水性 / 微生物細胞の親水性 / 静電気的相互作用 |
Research Abstract |
用水および廃水の殺菌と消毒は公衆衛生の立場からみると重要である。現在最も普及している方法は塩素消毒法である。しかし最近この操作過程において、トリハロメタンをはじめ有機塩素化合物などの有害な物質の副生することが指摘され、これらの物質が発ガン性などの毒性を有し、自然界において生物濃縮を受けることが問題になっている。このため有害物質を副生せず環境汚染問題も起こさない効果的な微生物除去方法の開発が緊急を要する課題となっている。筆者はこの問題を深刻に受けとめ、樹脂による水中微生物の新しい除去方法の開発に取組み、不溶性ピリジニウム型樹脂が水中の微生物細胞を強力に捕捉することを見出した。本研究の目的はこの高分子材料の機能を利用した新しい微生物除去方法について、実用化を目ざして具体的に検討することである。まずはじめに、不溶性ピリジニウム型樹脂の微生物細胞捕捉作用に及ぼす樹脂の化学構造および高次構造の影響について検討した。この作用は樹脂に含まれるピリジニウム基の量を増すと強くなった。ピリジニウム基の中ではN-ベンジルピリジニウム基が最も効果的であった。このほか、樹脂マトリックスの親水性の強さおよび水中での膨潤性が、樹脂の細胞捕捉作用を強くすることが明らかになった。不溶性ピリジニウム型樹脂のバクテリア細胞捕捉作用が、バクテリアの種類にも大きく依存するので、この問題についても詳細に検討した。バクテリア細胞の疎水性が強い場合には、細胞の表面電荷が大きくなると不溶性ピリジニウム型樹脂による捕捉作用が強くなった。従ってこの場合には細胞と樹脂表面との間の疎水性相互作用と静電気的相互作用が重要であると思われた。しかしバクテリア親水性が強い場合には、細胞の表面電荷と樹脂による捕捉作用との間の相関性は不明確であった。従ってこの場合には水が媒介する何らかの作用、あるいは水力学的的な作用などが重要であると思われた。
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