1986 Fiscal Year Annual Research Report
魚類授精卵に対する化学物質の催奇形性発現等に関する開発試験
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61860032
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
窪田 三朗 日獣畜大, 獣医畜産学部, 教授 (90046334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 紀男 富士生物科学研究所, 研究部, 研究部長
上野 隆二 三重大学, 水産学部, 助教授 (70024841)
吐山 豊秋 東京農工大学, 農学部, 教授 (80014893)
藤原 公策 東京大学, 農学部, 教授 (60012689)
畑井 喜司雄 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30164841)
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Keywords | 授精卵 / 催奇形性確認実験 / マイクロインジェクター / 卵の保定 / アロンアルファ / 化学物質の回収率 / HPLC |
Research Abstract |
1.魚卵を用いた化学物質の催奇形性確認実験で本年度予定のニジマス授精卵へのマイクロインジェクターによる物質注入の問題点は、(1)卵膜が厚くて直接注入は不可能。(2)グラスニードルを鋭利に折って穿孔後に注入。(3)授精直後の場合、卵内圧により卵黄が穿孔部から突出する。低分子水溶性化学物質は浸漬法で卵膜を透過するが、その移行量の決定には化学的な手法が必要となる。 2.卵の保定は粘着卵ならばスライドグラス上に自動的に粘着保定が可能である。非粘着卵はスライドグラス上でアロンアルファで保定でき、毒性もみられない。 3.胎性メダカ類は1回の交接で複数回出産するために、可溶性化学物質の水溶液中に魚を浸漬する方法では魚の浸漬時間と化学物質の作用性に問題が残り、今後さらに手法の開発が必要となった。 4.その他の魚種では、卵の成熟待ちで、ゼブラダニオを含めた以上の魚種に加えて、ヒメダカ,キンギョ,コイ,アユ等も対象にする予定である。[以上は窪田ら、藤原および舟橋] 5.ニジマス発眼卵からのオキソリン酸,ナリジクス酸,オキシテトラサイクリンの回収率については、ニジマスの卵膜を破って胚を取り出し、その5.0gに上記の薬物を夫々5μg添加し、ホモジナイズした。(1)オキソリン酸とナリジクス酸は春日らの方法にしたがって抽出し、HPLC分析で回収率を求めた。3回以上の実験の実験から、両者の回収率は夫々85,6%,88,1%の平均値が得られ、回収性も安定していた。(2)オキシテトラサイクリンは堀江の方法に準じて抽出し、回収率を同様に測定した結果、鮮明なクロマトグラムが得られず、回収率に安定性と信頼性を欠いた。この点についてはそれらの理由を検討中である。恐らくテトラサイクリン系抗生物質が発眼卵磨砕に【Ca^(++)】などと結合するために不安定な回収率となったと思われ、手法の開発を必要と孝えている。(以上5は吐山の指導と共同で得た実験結果である。
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