1986 Fiscal Year Annual Research Report
微生物毒素の細胞機能を解明する試薬として及び医薬としての応用への開発
Project/Area Number |
61870023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 驍 阪大, 国立大学(その他), 教授 (40029781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 正 千葉大学, 生物活性研究所, 教授 (30009419)
加藤 巌 千葉大学, 医学部, 教授 (40012702)
三輪谷 俊夫 大阪大学, 微生物学研究所, 教授 (60029759)
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Keywords | 細菌毒素 / 細胞への作用 / 活性部位 |
Research Abstract |
微生物の産生する毒素は細胞表面やたんぱく分子への傷害の特異性が高いためこの作用を利用して医学生物学研究及び医療への応用は重要になりつつある。そこで細胞膜や蛋白及び核酸合成系に作用する代表的毒素であるロイコジシン,エンテロトキシン,ジフテリア毒素,サフラマイシンを取上げた。ジフテリア毒素はC末端側の分子量約20kに亘って種々な部位5ケ所について20〜25アミノ酸残基からなるペプチドを合成し毒素作用の阻害をみたところ、このうちの1つが作用を阻害した。現在これを抗原として家免で抗体を得つつある。エンテロトキシンに関しては、大腸菌から分泌される赤痢菌毒素と極めて類似の毒素が精製され性状が明らかになった。さらにこの毒素や赤痢菌毒素に、感受性細胞から毒素抵抗性変異細胞が分離された。この細胞の解析により毒素の作用機構もさらに明らかになるであろう。細胞表面へ作用するものとして病原性大腸菌の腸上皮細胞の刷子縁への定着活性がある。空腸上皮細胞から定着因子が分離された。この部位がさらに精製され、その構造が明らかになると感染機構のみならず感染防御への応用が期待される。ロイコジシンは白血球膜へ特異的に作用するが、各種白血球に対して感受性に差異がある事が解った。特にヒト骨髄性白血病細胞には最も感受性が高く、それはリン脂質合成酵素メチルトランスフェラーゼとホスフォリパーゼA2の存在様式に依存しているためであった。この毒素によりこれら酵素の活性化により毒素の成分の1つがレシチンのβ位脂肪酸と容易に結合しNa-KAT Paseを活性化して白血球膜を崩壊する。サフラマイシンはその活性発現に関与すると考えられているαシアノアミン構造をもつ誘導体を合成して作用をみると、サフラマイシンと異なる作用様式で細胞障害作用がみられた。こうして新しく毒素分子の活性部位や作用機構が明らかになり、これらを基に医学研究や医療への応用が期待される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kohno,K.;Hayes,H.;Mekada,E.;Uchida,T.: Experimental Cell Research.
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[Publications] Honda,S.;Miwatani,T.et al.: Lancet. i. 331-332 (1987)
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[Publications] Kongmuang,U.;Honda,T.;Miwatani,T.: J.Clin.Microbiol.25. 115-118 (1987)
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[Publications] Kato,I.: Infection and Immunity. (1987)
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[Publications] Yazawa,K.;Arai,T.et al.: J.Antibiotics. 39. 1639-1650 (1986)
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[Publications] Mikami,Y.;Arai,T.et al.: J.Antibiotics.in press. (1987)
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[Publications] Yoshimori,T.;Uchida,T.ed.by A.J.L.Macario;E.C.de Macario: "Monoclonal antibodies against bacteria,vol.【III】" Academic Press,Inc., 346 (1986)
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[Publications] Uchida,T.ed.by F.Dorner;J.Drews: "Pharmacology of Bacterial Toxins" Pergamon Press, 748 (1986)